
PVC旋盤加工品
- プラスチック加工品例 -
PVC旋盤加工品


PVC旋盤加工品です。
外寸はφ43×20mm。
グレー硬質PVC丸棒を、旋盤にて精密切削加工しています。
内側にM38P1.5の雌ネジが切られていて、キャップ形状(フタ形状)になっています。
(※これまで作ったPVC旋盤加工製品はこちら → PVC旋盤加工品)
(※詳しい素材情報はこちら → ポリ塩化ビニル(塩ビ,エンビ,PVC))
PVC旋盤加工の詳細解説
本製品は、PVC樹脂(ポリ塩化ビニル樹脂)の丸棒材を使用し、旋盤加工によってキャップ形状に仕上げた特注部品です。お客様からご支給いただいた紙図面をもとに、精密な寸法管理のもと製作しております。
旋盤加工では、回転する工作物に対してバイト(切削工具)を当てることで、円筒形状や円錐形状、ネジ加工などを高精度に実現できます。PVC樹脂は金属に比べて切削抵抗が小さく、バイトの摩耗が少ないため、安定した加工精度を維持しやすい素材です。
加工工程ステップ
- 素材準備: グレー色の硬質PVC丸棒材を必要長さに切断し、旋盤チャックに固定します
- 外径切削: バイトを用いて外形を切削し、φ43mmの外径寸法に仕上げます
- 長さ加工: 端面を切削して全長20mmに調整します
- 端部仕上げ: 2箇所の端部をそれぞれR2(半径2mmの丸み)とC1(1mmの面取り)に加工します
- 内径加工: 中ぐり加工を行い、内側の下穴を加工します
- 雌ネジ加工: ネジ切りバイトを使用してM38×P1.5(ネジ径38mm、ピッチ1.5mm)の雌ネジを切削します
- 糸面取り: エッジ部分の微細なバリを除去し、手触りを滑らかにします
- 検査: 外径・内径・ネジピッチ・外観などを測定機器で確認し、図面仕様を満たしているか検査します
加工上の重要ポイント
- 切削速度の最適化: PVC樹脂は熱可塑性樹脂のため、切削熱で軟化しやすい特性があります。適切な切削速度と送り速度を設定することで、寸法精度の悪化や表面粗さの劣化を防ぎます
- バイトの刃先角度: PVC加工では、すくい角を大きめに設定することで切削抵抗を低減し、きれいな仕上がり面を得られます
- ネジ加工の精度管理: M38×P1.5という比較的大きなネジ径では、ネジゲージによる確認が不可欠です。相手部品との嵌合精度を保証するため、慎重に加工します
- R加工とC面取りの品質: キャップ形状では端部の仕上げが外観品質に直結します。適切な工具選定とバイトの刃先R精度が重要です
- チャック固定の工夫: PVC樹脂は金属より柔らかいため、過度な締付けで変形する恐れがあります。適正な締付けトルクでワークを保持します
- 切粉の除去: 切粉が加工面に再付着すると傷の原因になるため、エアブローやブラシで確実に除去します
PVC樹脂(ポリ塩化ビニル樹脂)の特性と優位性
PVC(Polyvinyl Chloride:ポリ塩化ビニル)は、塩化ビニルモノマーを重合させて作られる熱可塑性樹脂で、世界で最も広く使用されている汎用プラスチックの一つです。優れた耐薬品性と難燃性を持ち、加工性にも優れていることから、産業用部品から日用品まで幅広い分野で採用されています。
PVC樹脂の最大の特徴は、可塑剤の添加量によって硬質から軟質まで物性を自在に調整できる点にあります。本製品で使用している硬質PVCは、可塑剤をほとんど含まない、または全く含まないタイプで、高い剛性と寸法安定性を持ちます。
耐酸性・耐アルカリ性に優れているため、化学薬品を扱う環境下でも安心して使用できます。多くの酸やアルカリ、塩類に対して優れた耐性を示し、長期間にわたって性能を維持します。
自己消火性(難燃性)を持つことも重要な特性です。PVC樹脂は塩素を含む構造のため、着火しにくく、火源を離すと自然に消火する性質があります。これは安全性が求められる用途において大きなメリットとなります。
電気絶縁性が良好であり、電気・電子部品の絶縁材料としても広く使われています。体積抵抗率が高く、誘電率も適度な範囲にあるため、配線保護や電気機器の筐体などに適しています。
加工性の良さも見逃せません。切削加工、接着、溶着、曲げ加工など、多様な加工方法に対応でき、複雑な形状の部品製作も可能です。旋盤加工においても、金属に比べて切削抵抗が小さく、工具寿命が長いという利点があります。
経済性に優れている点も実用上の大きなメリットです。原料価格が比較的安価で、加工コストも抑えられるため、コストパフォーマンスに優れた材料選定が可能になります。
さらに、耐候性や耐水性にも優れているため、屋外使用や水回りの用途にも対応できます。ただし、直射日光による紫外線の影響を長期間受ける場合は、耐候グレードの選定や表面保護が推奨されます。
PVC樹脂(ポリ塩化ビニル樹脂)の主要特性(物性値)
以下の表は、硬質PVC(ポリ塩化ビニル)の代表的な物性値を示しています。実際の値は、グレードや成形条件によって若干変動する場合があります。
| 物性項目 | 数値 | 単位 |
|---|---|---|
| 比重 | 1.38 ~ 1.45 | – |
| 引張強さ | 40 ~ 60 | MPa |
| 引張弾性率 | 2,400 ~ 3,500 | MPa |
| 曲げ強さ | 70 ~ 110 | MPa |
| シャルピー衝撃強さ(ノッチ付) | 5 ~ 20 | kJ/m2 |
| ロックウェル硬さ | R110 ~ R120 | – |
| 熱変形温度(0.45MPa荷重) | 60 ~ 80 | ℃ |
| 線膨張係数 | 5.0 ~ 8.0 × 10-5 | /℃ |
| 熱伝導率 | 0.14 ~ 0.17 | W/(m·K) |
| 体積抵抗率 | 1014 ~ 1016 | Ω·cm |
| 誘電率(1MHz) | 3.0 ~ 3.5 | – |
| 吸水率(24時間) | 0.04 ~ 0.10 | % |
| 燃焼性(UL94規格) | V-0またはV-2 | – |
PVC樹脂・他樹脂素材・金属素材の比較表
以下の比較表は、PVC樹脂と他の代表的な樹脂素材・金属素材との物性値を比較したものです。材料選定の参考にしてください。
| 物性項目 | 硬質PVC | PP (ポリプロピレン) |
ABS | MC Nylon (MCナイロン) |
アルミニウム (A5052) |
ステンレス (SUS304) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 比重 | 1.40 | 0.90 | 1.05 | 1.16 | 2.68 | 7.93 |
| 引張強さ(MPa) | 50 | 32 | 45 | 85 | 195 | 520 |
| 引張弾性率(MPa) | 3,000 | 1,300 | 2,300 | 2,800 | 70,000 | 193,000 |
| 衝撃強さ(kJ/m2) | 10 | 破断せず | 20 | 50 | – | – |
| 熱変形温度(℃) | 70 | 55 | 95 | 160 | – | – |
| 耐薬品性(酸・アルカリ) | 優秀 | 優秀 | 良好 | 良好 | 酸に弱い | 優秀 |
| 難燃性 | 自己消火性 | 燃える | 燃える | 燃える | 不燃 | 不燃 |
| 電気絶縁性 | 優秀 | 優秀 | 良好 | 普通 | 導体 | 導体 |
| 加工性 | 良好 | 良好 | 良好 | 優秀 | 優秀 | 普通 |
| コスト | 低 | 低 | 中 | 中 | 中 | 高 |
比較表から見る硬質PVC樹脂の優位点
- 樹脂の中では比較的高い剛性: 引張弾性率3,000MPaは、PPやABSと比較して高く、構造部品としての使用に適しています
- 優れた耐薬品性: 酸・アルカリに対する耐性が高く、化学薬品を扱う環境でも長期使用が可能です
- 自己消火性による安全性: 樹脂材料の中で難燃性に優れ、火災リスクを低減できます
- 良好な電気絶縁性: 体積抵抗率が高く、電気・電子部品の絶縁材料として信頼性があります
- 金属代替としての軽量性: アルミニウムの約1/2、ステンレスの約1/6の比重で、軽量化に貢献します
- コストパフォーマンス: 原料価格が安価で、加工コストも抑えられるため、経済的な材料選定が可能です
- 錆びない・腐食しない: 金属と異なり、水や湿気による腐食の心配がなく、メンテナンスコストを削減できます
PVC樹脂(ポリ塩化ビニル樹脂)のバリエーションと特徴
PVC樹脂には、用途や求められる性能に応じて様々なグレード(バリエーション)が存在します。可塑剤の添加量、充填材の種類、安定剤の選定などによって、物性や外観が大きく変化します。
硬質PVC(リジッドPVC) – グレー色
可塑剤をほとんど、または全く含まない硬いPVCで、最も一般的に使用されるグレードです。本製品もこのタイプを使用しています。高い剛性と寸法安定性を持ち、機械的強度に優れています。耐薬品性・難燃性・電気絶縁性のバランスが良く、配管材料、建材、産業用部品など幅広い用途に採用されています。一般的な色はグレー(灰色)で、視覚的にも産業用途に適した落ち着いた外観を持ちます。
硬質PVC(透明グレード) – 透明色
硬質PVCの中でも、顔料を含まず透明性を確保したグレードです。内部の液体や部品の状態を外部から視認できるため、配管の流体確認、液面計、保護カバーなどに使用されます。透明グレードでも基本物性は通常の硬質PVCとほぼ同等で、耐薬品性や難燃性を維持しています。ただし、紫外線による経年劣化で黄変する傾向があるため、屋外使用では注意が必要です。
軟質PVC(フレキシブルPVC) – 各色あり
可塑剤を多く添加することで柔軟性を持たせたPVCです。可塑剤の添加量によって硬度を自由に調整できるため、用途に応じた柔軟性を実現できます。電線被覆、チューブ、シート材、防振材など、曲げや変形が必要な用途に適しています。色は、透明、半透明、白、黒、各種カラーなど多様なバリエーションがあります。ただし、軟質PVCは旋盤加工などの精密切削には向かないため、主に押出成形やカレンダー成形で製造されます。
導電性PVC – 黒色
通常のPVCにカーボンブラックや導電性フィラーを添加し、静電気を逃がす機能を持たせたグレードです。表面抵抗率を106~109Ω程度に調整することで、静電気によるトラブルを防ぎます。電子部品の保管・搬送用トレイ、半導体製造装置の部品、クリーンルーム内の治具などに使用されます。色は、カーボンブラックの配合により黒色が一般的です。
耐候性PVC(屋外用グレード) – グレー色、ベージュ色
紫外線吸収剤や耐候安定剤を配合し、屋外での長期使用に耐えるよう設計されたグレードです。通常のPVCは紫外線により表面が劣化し、変色や強度低下が生じますが、耐候性グレードではこれらの影響を大幅に抑制します。屋外配管、外装建材、看板、農業用資材などに適しています。色は、グレーやベージュなど、屋外環境に調和する色調が一般的です。
高衝撃PVC(耐衝撃グレード) – グレー色、白色
通常の硬質PVCにゴム成分や耐衝撃改質剤を添加し、衝撃強度を向上させたグレードです。シャルピー衝撃値が通常品の2~5倍に向上し、低温環境下でも割れにくい特性を持ちます。配管継手、筐体、保護カバー、屋外用途など、衝撃が加わる可能性がある用途に選定されます。色はグレーや白が主流です。
高衝撃PVCの用途別グレード
高衝撃PVCの中でも、さらに用途に特化したサブグレードが存在します。例えば、低温用高衝撃グレードは-20℃以下の環境でも衝撃強度を維持し、寒冷地での使用に適しています。また、食品衛生法適合グレードは、食品接触用途に使用できる安全性を確保しています。
発泡PVC – 白色、カラー各色
PVC樹脂に発泡剤を添加し、内部に微細な気泡構造を形成させた軽量グレードです。比重が通常の1/3~1/2程度になり、断熱性や緩衝性にも優れます。建材パネル、看板基材、模型材料などに使用され、軽量化と加工性の良さが評価されています。色は白が基本ですが、カラーバリエーションも豊富です。ただし、発泡構造のため機械的強度は低下し、精密部品には不向きです。
塩ビ管用グレード(VP・VU) – グレー色
JIS規格(JIS K 6741)に適合した配管専用グレードです。VP管(肉厚管)とVU管(薄肉管)があり、それぞれ用途に応じて使い分けられます。配管用途に最適化された配合により、長期耐圧性能、耐薬品性、施工性に優れています。色は視認性と統一性を考慮してグレー(灰色)に統一されています。給排水設備、工業用配管、農業用配管などで広く使用されています。
PVC樹脂(ポリ塩化ビニル樹脂)の長所と短所の分析
PVC樹脂を部品材料として選定する際には、その長所(メリット)と短所(デメリット)を正しく理解することが重要です。以下の表で、具体的な特性を整理しています。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 長所 (特徴・特性) |
優れた耐薬品性: 多くの酸・アルカリ・塩類に対して耐性があり、化学薬品を扱う環境でも劣化しにくい。塩酸、硫酸、水酸化ナトリウムなど、幅広い薬品に対応できます。 |
| 自己消火性(難燃性): 塩素を含む分子構造により、着火しにくく火源を離すと自然消火します。UL94規格でV-0またはV-2に分類され、防火性が求められる用途に適しています。 | |
| 良好な電気絶縁性: 体積抵抗率が1014~1016Ω·cmと高く、誘電率も適度な範囲にあるため、電気・電子部品の絶縁材料として信頼性があります。 | |
| 加工性に優れる: 切削、接着、溶着、曲げ加工など多様な加工方法に対応。旋盤加工では切削抵抗が小さく、工具寿命も長いため、複雑形状の部品製作が容易です。 | |
| 耐水性・耐候性: 吸水率が低く(0.04~0.10%)、水による寸法変化がほとんどありません。また、適切なグレードを選定すれば屋外使用も可能です。 | |
| コストパフォーマンス: 原料価格が安価で、加工コストも抑えられるため、大量生産から少量多品種生産まで経済的に対応できます。 | |
| 寸法安定性: 硬質PVCは剛性が高く、常温での寸法変化が小さいため、精密部品にも使用できます。線膨張係数は5~8×10-5/℃程度です。 | |
| 軽量性: 比重1.40程度で、アルミニウム(2.68)の約1/2、ステンレス(7.93)の約1/6。軽量化が必要な用途で金属代替材料として活用できます。 | |
| 腐食しない: 金属と異なり、錆や腐食の心配がなく、メンテナンスフリーで長期使用が可能。海水環境や高湿度環境でも安定して使用できます。 | |
| 接着・溶着が容易: 専用の接着剤や溶剤を使用することで、強固な接合が可能。また、熱風溶着や超音波溶着などの方法でも接合できます。 | |
| 短所 (特徴・特性) |
耐熱性が低い: 熱変形温度が60~80℃と低く、高温環境での使用には適していません。連続使用温度は一般的に60℃以下が推奨されます。 |
| 有機溶剤に弱い: ケトン類(アセトン、MEKなど)、芳香族系溶剤(トルエン、キシレンなど)、塩素系溶剤などに侵される可能性があります。溶剤を扱う環境では注意が必要です。 | |
| 衝撃強度が中程度: 特に低温環境下では脆くなりやすく、衝撃で割れる可能性があります。高衝撃グレードの選定や、設計上の配慮が必要です。 | |
| 紫外線による劣化: 長期間の直射日光暴露により、黄変や表面劣化が生じます。屋外使用では耐候グレードの選定や表面保護が推奨されます。 | |
| クリープ現象: 長時間の荷重負荷により、徐々に変形(クリープ)が生じる可能性があります。特に高温環境下では顕著になるため、設計時に考慮が必要です。 | |
| 熱膨張係数が大きい: 金属と比較して線膨張係数が大きいため、温度変化が大きい環境では寸法変化への配慮が必要です。 | |
| 表面硬度が金属より低い: 擦過傷がつきやすく、表面が摩耗する可能性があります。摺動部品などには潤滑や表面処理の検討が必要です。 | |
| 可塑剤の移行(軟質の場合): 軟質PVCでは、時間経過とともに可塑剤が表面に滲み出たり、接触する他の材料に移行したりすることがあります。 |
PVC樹脂(ポリ塩化ビニル樹脂)の使用分野・用途例
PVC樹脂は、その優れた特性を活かして非常に幅広い分野で使用されています。以下に、産業用途から日用品まで、具体的な使用例を示します。
産業・工業分野
- 化学工業用配管・継手・タンク・バルブ – 耐薬品性を活かした薬液輸送ラインや貯蔵容器
- 半導体製造装置の薬液配管・ダクト・ケミカルタンク – 高純度薬品に対する安定性
- めっき工場の薬液配管・排気ダクト・薬液槽 – 酸・アルカリ環境での長期使用
- 電気・電子部品の絶縁材料・コネクタハウジング・端子台 – 電気絶縁性と難燃性
- 電線・ケーブルの被覆材 – 柔軟性と絶縁性のバランス
- 機械装置のカバー・筐体・保護板 – 耐薬品性と加工性
- 工業用ホース・チューブ・配管材料 – 流体輸送用途全般
- ポンプ部品・インペラ・ケーシング – 耐薬品性が要求される流体機器
建築・土木分野
- 給水管・排水管・雨樋 – 耐食性と長期耐久性
- 電線管・配管保護材 – 難燃性と絶縁性
- 窓枠・サッシ・建具 – 耐候性と加工性
- 床材・壁装材・天井材 – 耐久性とデザイン性
- 波板・屋根材 – 耐候性と軽量性
- 継手・フランジ・ソケット類 – 配管システムの接続部品
医療・食品分野
- 医療用チューブ・カテーテル・輸液バッグ – 柔軟性と生体適合性(特定グレード)
- 食品用ラップフィルム – 透明性と加工性(食品衛生法適合品)
- 食品製造装置の部品・ホース – 耐薬品性と衛生性
- クリーンルーム用パーティション・カーテン – 帯電防止と清浄性
自動車・輸送機器分野
- ワイヤーハーネスの被覆・保護チューブ – 難燃性と柔軟性
- アンダーコート材・防音材 – 制振性と耐候性
- 内装部品・トリム・ダッシュボード表皮 – 加工性とデザイン性
- シール材・ガスケット – 柔軟性と耐久性
農業・水産分野
- 農業用ビニールハウス・トンネルフィルム – 透明性と耐候性
- 灌漑用パイプ・継手 – 耐候性とコスト性
- 養殖用水槽・配管 – 耐海水性と加工性
- 農薬散布用ホース – 耐薬品性と柔軟性
日用品・消費財分野
- 文具・ファイル・クリアケース – 透明性と加工性
- レインコート・長靴 – 防水性と柔軟性
- 合成皮革・人工皮革 – 質感とコスト性
- 玩具・人形 – 安全性と成形性(特定グレード)
- クレジットカード・各種カード類 – 耐久性と印刷性
- 園芸用ホース・散水ホース – 柔軟性と耐候性
その他特殊用途
- 静電気対策用トレイ・治具(導電性グレード) – 帯電防止機能
- 看板・ディスプレイ材料(発泡グレード) – 軽量性と加工性
- 防振材・緩衝材 – 柔軟性と制振性
- 人工芝基材・スポーツ用品 – 耐候性と耐摩耗性
- 各種キャップ・蓋・栓 – 本製品のような特注部品
よくある質問(FAQ)
Q1. PVC樹脂の旋盤加工は可能ですか?どのような点に注意すればよいですか?
A1. はい、PVC樹脂の旋盤加工は可能です。硬質PVCは切削抵抗が小さく、工具寿命も長いため、円筒形状や円錐形状、ネジ加工などの旋盤加工が可能です。注意点としては、(1)切削熱による軟化を防ぐため、適切な切削速度と送り速度を設定すること、(2)チャック締付け力を適正にし、ワークの変形を防ぐこと、(3)切粉が加工面に再付着しないよう、こまめに除去することが重要です。また、すくい角を大きめに設定することで、より滑らかな仕上がり面が得られます。
Q2. PVC樹脂で雌ネジ加工はできますか?精度は出ますか?
A2. はい、PVC樹脂への雌ネジ加工は十分可能です。本製品のようにM38×P1.5といった大きなネジ径でも、タップまたはネジ切りバイトを使用して精密に加工できます。PVC樹脂は金属に比べて柔らかいため、適切な工具選定と切削条件設定を行えば、JIS規格のネジ公差を満足する精度が得られます。加工後はネジゲージや相手物による確認を行い、相手部品との嵌合精度を保証しています。ただし、過度な締付けトルクを加えると樹脂がクリープ変形する可能性があるため、使用条件には注意が必要です。なお、インサート(ヘリサート、エンザート)でメスねじ強度を高めることもご提案できます。
Q3. PVC樹脂は屋外で使用できますか?劣化しませんか?
A3. PVC樹脂は基本的な耐候性を持っていますが、長期間の屋外使用では紫外線による劣化が生じる可能性があります。通常の硬質PVCを直射日光下で使用すると、表面が黄変したり、強度が低下したりすることがあります。屋外使用が想定される場合は、耐候グレード(紫外線吸収剤配合品)の選定をお勧めします。また、塗装や表面コーティングによる保護も効果的です。配管用途など、多くの実績がある分野では、適切なグレード選定により10年以上の耐久性が実証されています。
Q4. PVC樹脂の使用温度は何度までですか?高温環境には適していますか?
A4. 硬質PVCの連続使用温度は一般的に60℃以下が推奨されます。熱変形温度は60~80℃程度で、これを超えると変形や強度低下が生じます。したがって、高温環境(80℃以上)での使用には適していません。高温用途には、CPVC(塩素化PVC)や他の耐熱樹脂(PEEK、PPS、PAIなど)の選定をご検討ください。CPVCは約100℃まで、他の耐熱樹脂はさらに高温での使用が可能です。一方、低温側では-10℃程度までは使用できますが、それ以下では衝撃強度が低下するため、低温用高衝撃グレードの選定が必要です。
Q5. PVC樹脂は化学薬品に強いと聞きましたが、どんな薬品に使えますか?
A5. PVC樹脂は優れた耐薬品性を持ち、多くの化学薬品に対して耐性があります。具体的には、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ類、食塩水や各種塩類溶液などに対して優れた耐性を示します。また、アルコール類や水、油類にも安定です。ただし、ケトン類(アセトン、MEKなど)、芳香族系溶剤(トルエン、ベンゼンなど)、塩素系溶剤(四塩化炭素など)には侵されます。使用される薬品が決まっている場合は、詳細な耐薬品データをご確認ください。
Q6. PVC樹脂の加工で、バリや糸面取りはどのように処理しますか?
A6. PVC樹脂の旋盤加工では、切削時に微細なバリが発生することがあります。これらのバリは、製品の仕上げ工程で確実に除去します。具体的には、(1)手作業でのバリ取り工具やヤスリの使用、(2)回転ブラシによる機械的除去、(3)エッジ部分の糸面取り加工などを行います。糸面取りとは、エッジの鋭利な角を0.1~0.3mm程度の面取りやR加工で滑らかにする工程で、安全性の向上と美観の改善に寄与します。本製品でも、最終工程で糸面取りを実施し、手触りが滑らかで安全な製品に仕上げています。
Q7. 図面がなくても相談できますか?サンプルからの複製は可能ですか?
A7. はい。形状にもよりますが、図面がない場合でも対応可能です。現物サンプルをお送りいただければ、当社で測定して図面を起こし、製作を行った実績があります。また、手書きのスケッチや寸法メモでも、必要な情報が記載されていれば検討可能です。ご相談の段階では、大まかな形状や寸法、使用目的などをお伝えいただければ、最適な素材や加工方法をご提案いたします。お客様のニーズに合わせて、柔軟に対応させていただきますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
Q8. PVC樹脂と他の樹脂(例えばABSやMCナイロン)との使い分けは?
A8. 素材選定は使用環境や求められる性能によって決まります。PVC樹脂は耐薬品性・難燃性・電気絶縁性・コスト性に優れており、化学薬品を扱う環境や難燃性が必要な用途に最適です。ABSは衝撃強度と表面仕上げの美しさが特徴で、筐体や外装部品に向いています。MCナイロンは耐摩耗性と機械的強度に優れ、摺動部品や歯車などに適しています。温度範囲では、MCナイロン>ABS>PVCの順に耐熱性が高くなります。当社では、お客様の使用条件をヒアリングした上で、最適な素材をご提案いたします。
Q9. 小ロット(1個から数個)でも対応してもらえますか?
A9. はい、小ロット・試作品・1個からでも対応可能です。当社は受注生産形態を得意としており、お客様のご要望に応じた数量で製作いたします。大量生産前の試作品製作や、設備保守用の交換部品1個だけの製作など、様々なご要望に対応してきた実績があります。小ロットだからといって品質を落とすことはなく、1個でも図面通りの精密加工と検査を実施いたします。納期やコストについても、できる限りご要望に沿えるよう調整いたしますので、お気軽にご相談ください。
Q10. 納期はどのくらいかかりますか?急ぎの対応は可能ですか?
A10. 納期は製品の形状・寸法・数量・現在の工場稼働状況によって変動します。標準的な樹脂加工品であれば、受注後1~2週間程度での納品が一般的です。素材在庫状況や加工の複雑さによっては、さらに短納期での対応も可能な場合があります。お急ぎの場合は、お見積り依頼時に希望納期を明記いただければ、可能な限り調整いたします。まずは具体的なご希望納期をお聞かせください。
Q11. PVC樹脂の接着や溶接は可能ですか?どのような方法がありますか?
A11. はい、PVC樹脂は接着・溶接が容易な素材です。主な接合方法として、(1)溶剤接着:専用の塩ビ用接着剤(溶剤型)を使用し、表面を溶かして接合、(2)接着剤接着:エポキシ系やウレタン系接着剤を使用、(3)溶接:熱風溶接により、熱で溶かして接合、(4)機械的接合:ボルト・ナット、リベット、嵌合などの方法があります。用途や要求強度によって最適な方法を選定することができます。配管用途では溶剤接着と溶接加工が一般的で、強固な接合が得られます。複雑形状の接合が必要な場合でも、図面支給の上ご相談ください。
Q12. 導電性のPVC樹脂もありますか?静電気対策が必要な用途に使えますか?
A12. はい、導電性PVCグレードがあります。カーボンブラックや導電性フィラーを配合することで、表面抵抗率を106~109Ω程度に調整した導電性PVCは、静電気を逃がす機能を持ちます。これにより、電子部品の保管・搬送用トレイ、半導体製造装置の部品、クリーンルーム内の治具など、静電気によるトラブルを防ぎたい用途に適しています。導電性グレードは通常黒色で、一般的な硬質PVCと同様に旋盤加工が可能です。ご希望の表面抵抗値や用途に応じて、最適なグレードをご提案いたします。
ご注文から納品までの流れ
当社でのPVC樹脂加工品の受注から納品までのプロセスは、以下の通りです。お客様に安心してご発注いただけるよう、各段階で丁寧に対応いたします。
- お問い合わせ・図面支給: まずはお問い合わせメールフォームから、図面(PDF・DXF・IGS・STEP・紙図面の写真など)と必要数量、希望納期などをお送りください。図面がない場合は、現物サンプルや手書きスケッチでも結構です。
- 内容確認・ヒアリング: お送りいただいた図面や情報を確認し、不明点や追加確認事項がある場合は、お電話またはメールでご連絡いたします。使用環境や求められる性能などをヒアリングし、最適な素材・加工方法をご提案します。
- お見積書の作成・提出: 図面内容と数量、納期をもとに、詳細な見積書を作成いたします。見積書は、通常1~3営業日程度で提出いたします。
- ご検討・お見積り内容の調整: お見積り内容をご検討いただき、ご不明点やご要望があれば遠慮なくお申し付けください。納期やコスト面での調整が必要な場合は、代替案をご提案いたします。
- ご注文・注文書受領: お見積り内容にご納得いただけましたら、正式なご注文をお願いいたします。注文書(書面・PDF・FAXなど)を受領し、製作準備に入ります。
- 素材手配・加工準備: ご注文確定後、必要な素材を手配し、加工プログラムの作成や工具の準備を行います。素材が在庫にある場合は即座に加工開始できますが、特殊素材の場合は素材入荷を待つこともあります。
- 加工・製作: 旋盤やマシニングセンターなどの工作機械を用いて、図面仕様通りに精密加工を行います。熟練技術者が切削条件を最適化し、高品質な製品を製作いたします。
- 検査・品質確認: 加工完了後、寸法測定器(ノギス、マイクロメーター、ネジゲージなど)を使用して、図面仕様を満たしているか厳密に検査します。外観検査も実施し、傷やバリがないことを確認します。
- 梱包・出荷準備: 検査合格品を丁寧に梱包し、輸送中の破損を防ぎます。必要に応じて、検査成績書や材料証明書を添付いたします。
- 納品: 指定された納品先へ、宅配便や運送便で発送いたします。製品到着後、万が一不具合や疑問点がございましたら、速やかに対応いたしますので、お気軽にご連絡ください。
まとめ
PVC樹脂(ポリ塩化ビニル樹脂)は、優れた耐薬品性・難燃性・電気絶縁性を持ち、加工性とコストパフォーマンスに優れた汎用エンジニアリングプラスチックです。硬質PVCの丸棒材は旋盤加工に適しており、本製品のようなキャップ形状・ネジ加工・R加工・面取り加工など、複雑な形状の特注部品製作が可能です。
当社では、お客様からご支給いただいた図面をもとに、1個からの小ロット生産にも柔軟に対応しております。旋盤加工における切削条件の最適化、ネジ精度の管理、糸面取りによる仕上げ品質の向上など、熟練技術者による高品質な加工をお約束いたします。
PVC樹脂は化学工業、電気・電子、建築、医療、農業など幅広い産業分野で使用されており、用途に応じた多様なグレード(硬質、軟質、導電性、耐候性、高衝撃など)が選定可能です。使用環境や求められる性能に応じて、最適な素材グレードと加工方法をご提案いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
樹脂加工に関するご質問、お見積り依頼、技術相談など、どのようなことでも結構です。図面がない段階でのご相談や、「こんな部品は作れますか?」といった漠然としたお問い合わせも大歓迎です。当社の豊富な加工実績と技術力で、お客様の課題解決をサポートいたします。
PVC樹脂加工に関するご相談・お見積り依頼は、下記のお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
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