
プラスチックケース切削加工品|ABS難燃ケース追加工
- プラスチック加工品例 -
プラスチックケース切削加工品|ABS難燃ケース追加工
ABS難燃グレード製プラスチックケースに、貫通四角穴2個・貫通丸穴7個を追加工した事例です。3軸マシニングセンターで高精度に加工し、バリ取り・糸面取りまで一貫対応しています。
この記事の要点
- ABS難燃グレード製プラスチックケース「Hammond 1553D-BAT」に、貫通四角穴2個+貫通丸穴7個を追加工(後加工)した切削加工事例です。
- 3軸マシニングセンター+CAD/CAMでNCプログラムを作成し、穴あけ加工からバリ取り・糸面取りまで一貫対応しています。
- 金型不要の市販ケース追加工により、短納期・低コスト・小ロット試作を実現します。
- ABS樹脂難燃グレード(UL94-HB)は電気・電子機器筐体に適した物性を持ち、他樹脂・アルミとの比較でもバランスに優れた素材です。
- 1個からの小ロット案件・既製ケース追加工をご検討中の方は、プラスチックケース切削加工品一覧やABS樹脂素材解説ページをご参照のうえ、お問い合わせメールフォームよりお気軽にご相談ください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 素材 | ABS樹脂難燃グレード UL94-HB |
| ケース型番 | Hammond 1553D-BAT |
| 外形寸法 | 横89mm×縦147.24mm×厚み25mm(本文に公差記載なし) |
| 加工内容 | 貫通四角穴2個+貫通丸穴7個の追加工、CAD/CAMによるNCプログラム作成 |
| 加工設備 | 3軸マシニングセンター |
| 仕上げ | バリ取り・糸面取り、寸法測定・外観検査 |
| 図面支給・ロット | PDF図面支給に対応、1個から試作・小ロット生産が可能 |
プラスチックケース(プラスチックボックス)の精密切削加工について
本製品は、Hammond Manufacturing(ハモンド・マニュファクチャリング)の1553D-BAT(外形:横89mm×縦147.24mm×厚み25mm、素材:ABS樹脂難燃グレード UL94-HB)に、3軸マシニングセンターによる精密切削加工を施したものです。
PDF図面に基づき複数の貫通穴を高精度に加工しました。樹脂ケース追加工は金型が不要なため、短納期・低コストで理想の筐体を実現できます。
加工内容の詳細
お客様からご支給いただいたPDF図面を基にCAD/CAMでNCプログラムを作成し、以下の加工を実施しました。
- フラットエンドミルによる切削:φ11貫通丸穴×3個、61mm×19mm貫通四角穴×1個、47mm×14mm貫通四角穴×1個
- ドリルによる穴あけ:φ2.8貫通丸穴×2個、φ1.7貫通丸穴×2個
- バリ取り・糸面取り:手作業で全加工部位のエッジを仕上げ、安全性と外観品質を確保
- 最終検査:寸法測定・外観検査を実施し、品質基準をクリアした製品のみ出荷
プラスチックケース切削加工の工程ステップ
- 図面確認とプログラム作成 – PDF図面を詳細に確認し、CAD/CAMでNCプログラムを作成します。
- 素材の固定 – 変形・位置ズレを防ぐため、治具・クランプを用いてケースをテーブルに適切に固定します。
- フラットエンドミルによる切削 – 四角穴・大径丸穴を、ABS樹脂の特性に合わせた切削速度・送り速度で段階的に加工します。
- ドリルによる穴あけ – センタードリルで位置決め後、適切な送り速度でバリを抑えながら貫通加工します。
- バリ取り・糸面取り – 手作業で全エッジのバリを除去し、滑らかに仕上げます。
- 最終検査 – ノギス・マイクロメーターで寸法を確認し、外観検査を実施します。
- 梱包・出荷 – 検査合格品を適切に梱包してお客様へ届けます。
プラスチックケース切削加工で注意すべきポイント
- 切削速度の最適化 – ABS樹脂は熱に弱く、速すぎると摩擦熱で溶融・変形が発生します。50~150m/min程度を目安に設定します。
- 工具選定 – 超硬エンドミルやシャープなドリルを使用し、切削抵抗とバリ発生を抑えます。摩耗した工具は使用しません。
- 固定方法 – 薄肉構造のため過度なクランプ力は変形の原因となります。面で受ける治具を使用します。
- 送り速度の調整 – 速すぎると工具負荷が増大し、遅すぎると摩擦熱が蓄積します。材料・工具に適した速度を維持します。
- 冷却 – エアブローまたは微量クーラントで切削部を冷却します。ABS樹脂に対応した種類を選択してください。
- バリ対策 – 貫通加工時はバックアップ材を配置するか送り速度を調整し、バリの発生を最小限に抑えます。
本製品で使用したABS樹脂(難燃グレード)について
本製品のケース素材はABS樹脂難燃グレード(UL94-HB)です。ABS樹脂はアクリロニトリル(A)・ブタジエン(B)・スチレン(S)を共重合した熱可塑性樹脂で、機械的特性のバランスに優れています。難燃グレード(UL94-HB)は米国UL規格の水平燃焼試験に適合した遅燃性を持ち、電気・電子機器の筐体として広く使用されています。
詳しい特性・種類・加工事例はABS樹脂の素材解説ページをご覧ください。
プラスチックケース(プラスチックボックス)の特性と優位性
市販のプラスチックケースを使用した筐体製作には金型製作が不要という大きなメリットがあります。金型新規製作には数十万円~数百万円のコストと数週間~数ヶ月の期間が必要ですが、既製品への追加工であればこれらを大幅に削減できます。
小ロット生産や試作品製作において、プラスチックケースへの切削加工は非常に有効です。1個からの製作にも対応でき、設計変更にも柔軟に対応できます。ABS樹脂製ケースは軽量・加工性・電気絶縁性・塗装性に優れ、PCB用スタンドオフやバッテリー収納部が予め成形された製品も多く、組み立て効率化にも貢献します。
ABS樹脂(難燃グレード)の主要物性値
本製品で使用したABS樹脂難燃グレードの主要物性値を以下に示します。
| 物性項目 | 単位 | 物性値 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 比重 | – | 1.05~1.07 | アルミニウム(2.7)の約1/2.5、非常に軽量 |
| 引張強度 | MPa | 40~55 | 実用的な強度を持つ |
| 曲げ強度 | MPa | 66~96 | 優れた曲げ特性 |
| アイゾット衝撃強度(ノッチ付) | J/m | 75~640 | 耐衝撃性に優れる(グレードにより変動) |
| 荷重たわみ温度(1.81MPa) | ℃ | 88~107 | 常用耐熱温度70~100℃ |
| 体積抵抗率 | Ω·cm | >1016 | 優れた電気絶縁性 |
| 誘電率(1MHz) | – | 2.4~3.8 | 電気特性良好 |
| 線膨張率 | ×10-5/℃ | 6.5~9.5 | 金属より大きい(寸法変化に注意) |
| 吸水率 | 重量% | 0.2~0.6 | 吸水性は低い |
| 難燃性 | – | UL94-HB | 水平燃焼試験適合(遅燃性) |
※上記数値は代表値であり、保証値ではありません。グレードや製造メーカーにより変動します。
ABS樹脂・他樹脂素材・金属素材との比較表と優位性分析
ABS樹脂とよく比較される樹脂素材・金属素材の物性比較を以下に示します。
| 物性項目 | ABS樹脂 (対象樹脂) |
ポリカーボネート (PC) |
ポリアセタール (POM) |
アルミニウム (A5052) |
|---|---|---|---|---|
| 比重 | 1.05~1.07 | 1.20 | 1.41~1.42 | 2.68 |
| 引張強度(MPa) | 40~55 | 60~70 | 60~70 | 195 |
| 荷重たわみ温度(℃) | 88~107 | 125~135 | 110~165 | – |
| 耐衝撃性 | 優 | 極めて優 | 優 | 極めて優 |
| 電気絶縁性 | 優 | 優 | 優 | 導電性(×) |
| 加工性 | 極めて優 | 良 | 良 | 良 |
| コスト(指数) | 1.0 | 2.5~3.0 | 1.5~2.0 | 2.0~2.5 |
| 汎用性 | 極めて高い | 高い | 高い | 中程度 |
| 加工事例 | ABS樹脂加工事例 | ポリカーボネート(PC)加工事例 | ポリアセタール(POM)加工事例 |
凡例: ■ ABS樹脂(対象樹脂) ■ 他樹脂素材 ■ 金属素材
ABS樹脂の優位点
ABS樹脂には以下のような優位点があります。
- コストパフォーマンス – ポリカーボネート(PC)やポリアセタール(POM)と比較して材料コストが低く、試作・小ロット生産に経済的です。
- 優れた加工性 – 切削加工・接着・塗装に良好な特性を示し、特に切削ではバリが少なく仕上がりが美しいという特長があります。
- 機械的特性のバランス – 引張強度・耐衝撃性・剛性がバランスよく備わり、汎用性が極めて高い素材です。
- 電気絶縁性 – 体積抵抗率が1016Ω·cm以上と高く、電気・電子機器の筐体に最適です。
- 軽量性 – 比重1.05~1.07はアルミニウム(2.68)の約40%の重量で、可搬性が求められる用途に適しています。
- 表面美観と塗装性 – 表面光沢に優れ、塗装やメッキ処理が容易なため、外観品質が求められる製品に最適です。
一方で、耐熱性・耐衝撃性ではポリカーボネートに劣り、強度ではアルミニウムに及びません。しかし電気機器の筐体など、極端な強度・耐熱性が求められない用途ではABS樹脂が最もバランスの取れた選択となります。
市販プラスチックケース(プラスチックボックス)の長所と短所
| 長所(メリット) | 短所(デメリット) |
|---|---|
| 金型製作が不要 数十万円~数百万円のコストと数週間~数ヶ月の期間を削減できます。 |
形状の制約 既製品の外形寸法に制約されるため、完全オリジナル形状は実現できません。 |
| 短納期対応 切削加工のみで完成するため、1週間程度での納品が可能です。 |
大量生産には不向き 数千個以上の大量生産では射出成形のほうが1個あたりコストで有利になります。 |
| 小ロット・1個から対応 試作品・特注品など、少数の製作にも柔軟に対応できます。 |
素材選択の制約 市販ケースで使用されている素材(主にABS・PC・PP)に限定されます。 |
| 設計変更が容易 図面修正だけで対応できるため、試作段階での仕様変更に強いです。 |
複雑な内部構造は困難 アンダーカット形状など、切削では製作できない形状があります。 |
| 基板取り付け機能が標準装備 多くの市販ケースにはPCB用スタンドオフやネジ穴が予め成形されています。 |
色の選択肢が限られる 市販ケースの標準色(黒・グレー・クリア等)に限定されます(別途塗装は可能)。 |
凡例: ■ 長所(メリット) ■ 短所(デメリット)
プラスチックケース(プラスチックボックス)加工でよくあるトラブルと当社の対策
プラスチックケースの切削加工では素材・形状に起因するトラブルが発生しやすいです。当社では長年の経験とノウハウによりこれらを未然に防止しています。
| トラブル | 主な原因 | 当社の対策 |
|---|---|---|
| 変形・歪み | 薄肉構造への過度なクランプ力、切削熱の蓄積 | 面で受ける治具で適切な圧力に固定し、エアブローで冷却。 |
| バリの発生 | 工具の切れ味不足、送り速度の不適切、貫通時の処理不良 | 超硬工具と適切な送り速度を使用。貫通加工時はバックアップ材を配置し、手作業でバリ取り・糸面取りを徹底実施。 |
| 寸法不良 | 固定不良による位置ズレ、熱膨張による寸法変化 | CAD/CAMで正確なプログラムを作成し、自然冷却後に寸法測定を実施。 |
| 表面の粗さ | 切削条件の不適切、工具の摩耗 | ABS樹脂に適した切削速度(50~150m/min程度)を設定し、工具を定期交換。 |
| 割れ・クラック | 過度な切削負荷、薄肉部への無理な加工 | 薄肉部は複数パスで少しずつ加工し、コーナー部にR(丸み)を設けて応力集中を回避。 |
凡例: ■ トラブル ■ 当社の対策
電話での問い合わせは 0553-33-6927 まで
当社のプラスチックケース(プラスチックボックス)加工が活躍する分野
市販プラスチックケースへの精密切削加工は、特に試作・開発段階や小ロット生産が必要な分野において高い価値を発揮します。
- 電子機器・通信機器分野 – スイッチ・コネクタ・ディスプレイ用の穴を開けた試作品筐体として活用。IoTデバイスや無線通信機器向けのアンテナ用開口部・配線用溝加工にも対応します。
- 制御・計測機器分野 – 制御盤・制御ボックスへの操作パネル用開口部やケーブル引き込み口の追加工。内部基板配置に合わせた本製品のような特注精密加工に対応します。
- 医療・研究機器分野 – 特定のセンサーや測定器を組み込むカスタムケースとして採用。清潔性や電気絶縁性が求められる環境で活躍します。
- 産業機器・FA機器分野 – 小型制御装置や検査装置の筐体として使用。工場内での堅牢性と加工精度が求められる用途に対応します。
- 試作・開発全般 – 新製品開発における試作筐体(1個~10個程度の小ロット)から、少量生産が必要な特殊仕様まで幅広く対応します。
プラスチックケース切削加工に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 客先支給のプラスチックケースに加工してもらえますか?
A1. はい、可能です。お客様がご用意されたプラスチックケースへの加工も承っております。Hammond Manufacturing(ハモンド・マニュファクチャリング)、タカチ電機工業、テイシン電機、摂津金属工業(OKW)(GB)、E-CALL、IDEC、SparkFun、RS PRO、OTAXなど、各種メーカーの製品に対応しています。当社でのケース調達も可能ですので、お気軽にご相談ください。
Q2. 図面がない場合でも加工依頼できますか?
A2. はい、対応可能です。手書きのスケッチや写真、現物をお送りいただければ当社で図面を作成することも可能です。加工内容をお伺いのうえ最適な方法をご提案いたします。
Q3. どのようなファイル形式の図面に対応していますか?
A3. PDF、DXF、DWG、STEP、IGESなど、主要なCADファイル形式に対応しています。手書きの図面や写真でもご相談に応じますので、まずはお問い合わせください。
Q4. 1個だけの試作や小ロット生産でも依頼できますか?
A4. はい、喜んで承ります。当社は小ロット加工を得意としており、1個からのご依頼にも対応しております。少量でも品質を妥協することはありませんので、ご安心ください。
Q5. 加工の精度はどれくらいですか?
A5. 当社では精密なマシニングセンターを使用し、一般公差±0.1mm程度での加工を標準としています。さらに厳しい公差が必要な場合は±0.05~±0.02mm程度まで対応可能です。ご希望の公差をお知らせください。
Q6. 納期はどれくらいかかりますか?
A6. 加工内容や数量により異なりますが、標準的な部品で5~7日程度です。お急ぎの場合は特急対応も可能ですので、ご相談ください。
Q7. 見積もり依頼に必要な情報は何ですか?
A7. ①加工を施すプラスチックケースの情報(メーカー・型番など)、②加工内容がわかる図面(形状・寸法)、③ご希望の数量をご連絡ください。これらの情報を基に迅速にお見積もりいたします。
Q8. ABS樹脂以外の素材でも加工できますか?
A8. はい、可能です。ABS樹脂の他、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、アクリル樹脂(PMMA)など、様々な樹脂素材の加工に対応しています。素材の特性に応じた最適な加工条件で対応いたします。
Q9. 穴あけ以外の加工もできますか?
A9. はい、対応可能です。穴あけ加工の他、溝加工、ザグリ加工、タップ加工、C面取り加工など、様々な切削加工に対応しています。透明アクリル窓の接着加工やシルク印刷なども可能です。
Q10. 金型(射出成形)と比べた場合、切削加工のメリットは何ですか?
A10. 金型が不要なため初期コストを大幅に抑えられ、短納期での製作が可能です。また設計変更にも柔軟に対応でき、試作段階での仕様変更が容易です。小ロット生産においては切削加工が圧倒的に有利です。
Q11. 難燃グレードのABS樹脂とは何ですか?
A11. 難燃グレードのABS樹脂は、UL94規格(米国の燃焼性試験規格)に適合した樹脂です。本製品で使用したUL94-HBグレードは水平燃焼試験に適合した遅燃性を持ち、電気・電子機器の筐体として広く使用されています。
Q12. 加工後の処理(塗装やシルク印刷)もできますか?
A12. はい、対応可能です。切削加工後の塗装、シルク印刷、文字彫刻加工+色入れ加工などの二次加工にも対応しています。製品の仕上がりイメージや用途に合わせて最適な方法をご提案いたします。
プラスチックケース加工のご依頼から納品までの流れ
- お問い合わせ・図面支給 – お問い合わせメールフォームまたはお電話(0553-33-6927)・FAX(0553-32-1502)でご連絡いただき、加工内容がわかる図面(PDF、DXF等)をご支給ください。手書きスケッチや写真でも対応可能です。
- 内容確認・見積書作成 – 図面を確認し、加工内容・使用素材・数量を基に見積書を作成します。通常1~2営業日以内にご提示いたします。
- 見積書提出・ご承認 – 見積書の内容をご確認いただき、ご承認いただけましたら正式なご注文となります。
- 注文書受領・製作開始 – 注文書受領後、CAD/CAMでNCプログラムを作成し、速やかに加工を開始します。
- 精密切削加工 – 3軸マシニングセンターで高精度に切削加工を実施し、バリ取り・糸面取りで仕上げます。
- 最終検査 – 寸法測定・外観検査を実施し、品質基準をクリアした製品のみ次工程に進めます。
- 梱包・納品 – 検査合格品を適切に梱包し、ご指定の納品先へお届けします。標準的な部品で5~7日程度です。
まとめ
本ページでご紹介したプラスチックケース精密切削加工品は、市販のABS樹脂難燃グレード製ケースに3軸マシニングセンターで複数の貫通穴を高精度に追加工し、バリ取り・糸面取りまで丁寧に仕上げた製品です。金型製作が不要なため初期コストと製作期間を大幅に削減でき、1個からの試作・小ロット生産に最適です。
プラスチックケース追加工をご検討中の方は、ぜひ当社にご相談ください。経験豊富なスタッフが、お客様の「理想の筐体」実現を短納期・低コストでサポートいたします。
電話での問い合わせは 0553-33-6927 まで
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