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超高分子量ポリエチレン切削加工|旋盤・マシニングセンター

- プラスチック加工品例 -

超高分子量ポリエチレン切削加工|旋盤・マシニングセンター

白色超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)丸棒を旋盤とマシニングセンターで切削加工し、外径φ29.5×長さ60mmのテーパー・U字溝・貫通穴を複合加工した部品の製作事例と加工ポイントを解説します。

この記事の要点

  1. 白色UHMWPE丸棒を旋盤・マシニングセンターで切削加工し、外径φ29.5×長さ60mmの複合形状部品を製作した事例を解説します。
  2. 角度の異なる2箇所のテーパー形状幅13.8mm・深さ18mmのU字溝φ10貫通穴を含む複雑形状への対応工程を紹介します。
  3. UHMWPEの切削加工で発生しやすい熱変形・バリへの対策として、切削条件の最適化・冷却管理・工具選定のポイントを解説します。
  4. UHMWPE・PP・HDPE・6ナイロン・SUS304・アルミ合金の6素材を物性・コスト・用途で比較した選定ガイドを掲載しています。
  5. 試作1個からの小ロット対応・短納期対応も可能で、よくあるトラブルと対策、よくある質問を12問掲載しています。
白色超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)丸棒から切削加工した外径φ29.5×長さ60mmの部品3個を向きを変えて並べ、全体形状を斜め上から撮影
白色超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)丸棒から旋盤・マシニングセンターで切削加工した外径φ29.5×長さ60mmの部品3個。向きを変えて並べ、全体形状がわかるよう斜め上から撮影。
白色超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)部品のクローズアップ。2箇所のテーパー形状・U字溝・φ10貫通穴を確認できる旋盤・マシニングセンター加工品
同部品のクローズアップ。2箇所のテーパー形状・U字溝(幅13.8mm・深さ18mm)・φ10貫通穴など、複合形状の加工精度を確認できる。

代表仕様

表1:超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)部品の代表仕様
項目 内容
素材 白色超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)丸棒
外形寸法 外径φ29.5×長さ60mm
加工内容 テーパー加工・U字溝加工・貫通穴加工(複合切削)
加工設備 旋盤・マシニングセンター
切削工具 バイト・ドリル・フラットエンドミル
仕上げ 糸面取り(バリ取り・エッジ面取り)
図面支給 お客様支給(PDF等)
対応ロット 1個から対応
当社の加工実績:掲載加工事例543件(2026年5月現在)。超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含む樹脂素材の小ロット加工を多数手がけており、試作1個からご対応しています。

超高分子量ポリエチレン精密部品の加工内容と加工方法

工程設計の要点

  1. 図面確認と素材準備:支給図面を詳細に検討し、白色UHMWPEの丸棒材を必要な長さにカット。
  2. 旋盤による外径加工:バイトを用いて外径φ29.5×長さ60mmを仕上げる。
  3. 旋盤によるテーパー加工:角度の異なる2箇所のテーパー(φ29.5→φ28、φ29.5→φ22)と段形状(φ22→φ15)を切削。
  4. 旋盤による貫通穴加工:外径φ29.5の中央にドリルでφ10の貫通穴を加工。
  5. マシニングセンターによるU字溝加工:フラットエンドミルで口元幅13.8mm・奥幅15mm(R7.5)・深さ18mmのU字形状を切削。
  6. 糸面取り・バリ取り:全エッジの面取り処理を実施。
  7. 寸法検査・梱包・出荷:図面仕様との照合後、適切に梱包して出荷。

超高分子量ポリエチレン切削加工で注意すべきポイント

  • 熱変形対策:UHMWPEは熱伝導率が低く、切削時の摩擦熱が素材内に蓄積しやすい。冷却剤の適切な使用と段階的な切込みで温度上昇を抑制する。
  • バリ発生への対応:柔軟性の高い素材特性からバリが生じやすい。シャープな工具と適切な送り速度の組み合わせで抑制する。
  • チャッキング圧管理:軟質素材のため過度な把持圧は変形を招く。最適なチャッキング圧の設定が安定加工の鍵になる。
  • 工具選定と管理:切れ味の良いバイト・エンドミルを選び、工具摩耗を定期的に確認する。摩耗が進んだ工具はバリや表面粗さ悪化の原因になる。
  • 寸法確認のタイミング:加工直後は熱膨張の影響で寸法が変化することがある。冷却後に最終確認を行うことで測定値の信頼性を確保する。
  • 固定治具の活用:テーパー・U字溝など複合形状の加工では、専用治具による確実な固定が位置精度を左右する。
この部品の加工について相談する

電話での問い合わせは 0553-33-6927 まで

本製品で使用した超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)について

本製品には当社で用意した白色の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)丸棒材を使用しています。UHMWPEは通常の2〜30万の分子量を100〜700万まで高めたポリエチレンで、熱可塑性樹脂(スーパーエンジニアリングプラスチック)のひとつです。

汎用・食品衛生適合・帯電防止など用途に応じた品種があり、ニューライト・タイバー・ウルモラ・ソリジュール・U-PEなどのブランド名で流通しています。素材の詳細については超高分子量ポリエチレン素材解説ページをご覧ください。

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)の特性と優位性

  • 樹脂素材最高クラスの耐摩耗性:スチール鋼と比較しても遜色ない耐久性を摺動部品で発揮し、長寿命化に貢献します。
  • 優れた自己潤滑性:動摩擦係数0.10〜0.20(対鋼)を潤滑剤なしで維持でき、保守の簡素化や異物混入リスクの低減につながります。
  • 高い耐衝撃性:落下衝撃や繰り返し衝突荷重に強く割れにくいため、食品機械や医療機器の部品としても安全性が高い素材です。
  • 吸水率<0.01%の優れた寸法安定性:水分・湿潤環境での使用でも寸法変化がほとんどなく、屋外設備や水回りの部品に適しています。
  • 比重0.93〜0.94の軽量性:アルミニウム(2.70)や鋼(7.9前後)と比べて大幅に軽量で、金属からの置き換えによる軽量化・静音化に有効です。

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)の主要物性値

表2:超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)の主要物性値
項目 単位 UHMWPE(代表値)
比重 0.93〜0.94
引張強さ MPa 20〜35
破断伸び % 250〜450
曲げ強さ MPa 20〜26
曲げ弾性率 MPa 700〜900
硬さ(ショアD) 60〜65
耐熱連続使用温度 80
吸水率(24h) % <0.01
動摩擦係数(対鋼) 0.10〜0.20

※ 物性値はグレードおよび試験条件により異なります。詳細はメーカーデータシートをご確認ください。

他素材との比較表

表3:UHMWPE・樹脂3種・金属2種の特性比較
特性 UHMWPE PP HDPE 6ナイロン SUS304 アルミ合金
比重 0.94 0.91 0.95 1.14 7.93 2.70
引張強さ(MPa) 20〜35 25〜35 20〜30 55〜80 約520 約210
耐摩耗性
耐衝撃性
自己潤滑性 × ×
耐薬品性
耐熱性(連続使用温度) 80℃ 100℃ 70℃ 80〜90℃ 400℃以上 120℃
吸水率(24h) <0.01% <0.01% <0.01% 約1.5%
コスト指数
汎用性
加工事例一覧 UHMWPE加工事例一覧 PP加工事例一覧 PE加工事例一覧 6ナイロン加工事例一覧

※ 凡例(素材の分類):対象素材(UHMWPE) 他の樹脂素材 金属素材 / ◎優秀・○良好・△やや劣る・×不適
※ 引張強さはグレード・試験条件により異なります。6ナイロン(PA6)の引張強さは乾燥状態の参考値です。耐熱温度は各素材の連続使用温度の目安です。

UHMWPEを選ぶべきケース・再検討すべきケース

表4:超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)素材選定ガイド
この素材が向いているケース 他素材も検討すべきケース
耐摩耗性・摺動性を最優先する部品(チェーンガイド・ライナー・搬送ガイドなど) 連続使用温度が80℃を超える環境(PPやエンプラを検討)
食品機械・医療機器など衛生性・化学的安全性が求められる用途 接着・溶着が必要な部品(UHMWPE は接着が困難)
低騒音・自己潤滑が必要な搬送部品や摺動部品 クリープ変形が許容できない精密保持部品(POM・MCナイロンを検討)
金属からの軽量化・静音化・防錆化を図りたい部品 曲げ剛性・引張強さが特に重要な構造部材(金属や高剛性エンプラを検討)
酸・アルカリ・有機溶剤との接触が多い化学設備部品 高負荷・高温・高精度が同時に求められる用途(素材ごとの限界を要確認)

※ 判断に迷う場合はお気軽にご相談ください。用途と使用環境に応じた素材選定のご提案が可能です。

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)の長所と短所

表5:超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)の長所と短所
長所(メリット) 短所(注意点)
樹脂素材最高クラスの耐摩耗性 連続使用温度の上限が約80℃
潤滑剤不要の優れた自己潤滑性 低弾性率によるクリープ変形リスク
高い耐衝撃性・割れにくさ 自己潤滑性が高いため接着が困難
吸水率<0.01%の低吸水性・寸法安定性 柔軟性による切削加工の難しさ(専門技術が必要)
酸・アルカリ・有機溶剤への広い耐薬品性 熱溶着・成形加工が困難
食品衛生適合グレードの存在 引張強さ・剛性は金属や一部エンプラに劣る

よくあるトラブルと当社の対策

表6:UHMWPE切削加工でよくあるトラブルと当社の対策
トラブル 主な原因 当社の対策
切削時のバリ発生 素材の柔軟性・低融点 鋭利な工具の使用と送り速度・切込み量の最適化
切削熱による熱変形・寸法不良 低熱伝導率による摩擦熱の蓄積 冷却剤の適切な使用と段階的切削工程の設計
加工後のクリープ変形 低弾性率・加工残留応力の緩和 チャッキング圧の適正管理と応力を残さない加工順序
加工面の毛羽立ち・粗さ悪化 繊維状組織による引き切れ・工具摩耗 高切削速度・低切込み量の設定と工具摩耗の定期確認
穴・溝の位置ズレ 固定不足による素材のたわみ・ズレ 専用治具による確実な固定と工程ごとの位置確認

※ 加工上の問題や仕様の不明点はお気軽にご相談ください。事前の検討段階からご支援します。

加工が活躍する分野

  • 食品機械・搬送機器:食品衛生適合グレードを用いた搬送ガイド・カッティングボード・ライナーなど。耐摩耗性と衛生性を両立できます。
  • 半導体・医療機器:帯電防止グレードや高純度グレードによる搬送部品・摺動部品。自己潤滑性と耐薬品性が活かされます。
  • 自動車・産業機械:チェーンガイド・スプロケット・摺動材など。軽量化・静音化・長寿命化に貢献します。
  • 試作・開発分野1個からの小ロット製作・短納期対応が可能。材料評価・試作検証のご依頼もお気軽にご相談ください。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. UHMWPEとはどのような素材ですか?

A1. 超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)は、通常の2万~30万の分子量を100万〜700万まで高めたポリエチレンです。スーパーエンジニアリングプラスチックのひとつで、耐摩耗性・自己潤滑性・耐衝撃性に優れ、食品機械や産業装置の摺動部に幅広く使われています。

Q2. UHMWPEの耐摩耗性はどの程度ですか?

A2. 樹脂素材の中でも最高クラスの耐摩耗性を持ち、POMやMCナイロンと比較しても大幅に優れています。チェーンガイドや搬送ライナーなど、金属との接触が多い摺動部品に最適な素材です。

Q3. UHMWPEの加工は難しいですか?

A3. はい。柔軟性が高く変形しやすいため、切削時に熱変形やバリが発生しやすく、精密な加工には専門の技術と経験が必要です。当社では切削条件の最適化・冷却管理・工具選定を徹底し、安定した品質で製作しています。

Q4. テーパー加工やU字溝など複合形状にも対応できますか?

A4. はい、対応可能です。今回の事例では角度の異なる2箇所のテーパー・幅13.8mm×深さ18mmのU字溝・φ10貫通穴を1個の部品に複合加工しました。旋盤とマシニングセンターを組み合わせて複雑な形状に対応しています。

Q5. UHMWPEには食品機械向けグレードがありますか?

A5. はい。食品衛生法や各種食品安全規格に適合したグレードが流通しています。搬送ガイド・カッティングボード・ライナーなど食品と接触する部品への使用を検討される場合は、グレード選定についてご相談ください。

Q6. UHMWPEの吸水性が低いとはどういうことですか?

A6. UHMWPEの吸水率は24時間で0.01%未満と非常に低い値です。水回りや湿潤環境での使用でも寸法変化がほとんどなく、6ナイロン(PA6)のように吸水で膨潤するリスクがないため、精度保持が必要な部品にも安心して使えます。

Q7. PP・HDPEとUHMWPEの違いは何ですか?

A7. PPやHDPEと比べてUHMWPEは分子量が桁違いに高く、耐摩耗性・耐衝撃性が格段に優れています。ただし耐熱性はPP(連続100℃)に劣り、HDPE(連続70℃)とほぼ同等です。摺動・耐摩耗用途ではUHMWPEが最適です。

Q8. UHMWPEを金属から置き換えるメリットは何ですか?

A8. 比重0.93~0.94と金属(アルミ合金2.70・SUS304は7.93)に比べて大幅に軽量です。加えて静音性・防錆性・自己潤滑性も得られるため、食品機械など錆が許容されない環境での金属代替素材として特に有効です。

Q9. 加工依頼の際に必要な情報はありますか?

A9. 用途・使用環境・希望寸法などをお知らせいただければ、最適な素材グレードと加工条件をご提案します。図面がなくてもスケッチや口頭説明から対応できますので、まずはお気軽にご相談ください。

Q10. 小ロットや試作への対応は可能ですか?

A10. はい、1個からの製作・短納期対応にも柔軟に対応しています。加工可否の検討や概算見積もりも無料ですので、お気軽にご連絡ください。

Q11. 納期はどのくらいかかりますか?

A11. 加工内容や数量により異なりますが、標準的な部品で5~7日程度を目安としています。お急ぎの場合はご相談ください。

Q12. 接着や溶着が必要な部品にも対応できますか?

A12. UHMWPEは自己潤滑性が高いため、一般的な接着剤では十分な接着力が得られにくい素材です。機械的接合(ボルト・ピンなど)であれば問題なく対応できます。接着が必要な場合は代替素材のご提案も可能ですのでご相談ください。

ご依頼から納品までの流れ

  1. お問い合わせ・ご相談:用途・寸法・使用環境などをお知らせください。図面がない段階からご相談いただけます。
  2. 仕様確認・お見積もり:図面またはスケッチをもとに加工可否を確認し、概算見積もりをご提示します。
  3. ご発注・素材準備:内容をご確認いただいたうえでご発注いただき、素材の手配・加工準備を進めます。
  4. 切削加工:旋盤・マシニングセンターを用いて指定仕様に沿った精密切削加工を実施します。
  5. 検査・梱包・出荷:図面仕様との照合検査を経て、適切に梱包のうえ宅配便で出荷します。

まとめ

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)は、耐摩耗性・自己潤滑性・耐衝撃性・低吸水性に優れたスーパーエンジニアリングプラスチックで、食品機械・産業機械・医療機器など幅広い分野の摺動部品に採用されています。本事例では旋盤マシニングセンターを組み合わせ、テーパー・U字溝・貫通穴を含む複合形状を高精度で仕上げました。当社では長年の実績とノウハウを活かし、試作1個からの小ロット加工・短納期対応が可能です。素材選定や加工方法のご相談もお気軽にお問い合わせください。

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