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ポリアセタール精密切削加工|薄肉パイプ・内径タップ・外周スリット加工

- プラスチック加工品例 -

ポリアセタール精密切削加工|薄肉パイプ・内径タップ・外周スリット加工

黒色ポリアセタール(POM)丸棒材を旋盤とマシニングセンターで精密切削加工し、外径φ16×長さ71mm・肉厚1.4mmの薄肉パイプに、内径M14×P1.25メスネジと外周24本の長穴スリットを複合加工した事例を解説します。

この記事の要点

  1. この加工事例のポイント:外径φ16×長さ71mm、肉厚1.4mmの黒ポリアセタール(POM)製薄肉パイプに、内径M14×P1.25メスネジと外周24本の長穴スリットを複合加工した内容を紹介します。
  2. 加工工程の解説:旋盤で外径・内径を仕上げてタップ加工を行い、マシニングセンターで等分スリット加工を施す6工程の加工フローと、各工程で注意すべきポイントを解説します。
  3. POMの特性データ:耐摩耗性・寸法安定性・切削性に優れたポリアセタール(POM)の主要物性値を掲載。引張強さ61 MPa、吸水率0.2%など、一次資料に基づくデータを確認できます。
  4. 素材比較と選定ガイド:フェノール樹脂HDPE66ナイロン・アルミニウム合金・ステンレス鋼との特性比較表と、POMを選ぶべきケース・再検討すべきケースの選定ガイドを掲載します。
  5. FAQ・トラブル対策:薄肉パイプ加工・内径タップ精度・スリット等分割など、ポリアセタール精密切削加工でよくある質問12件とトラブル対策事例を紹介します。
黒ポリアセタール(POM)丸棒から切削加工した外径φ16×長さ71mmの薄肉パイプ5個。外周に2mm×24mmの長穴スリットが24本切削されており、全体形状がわかる斜め上からの写真。
黒ポリアセタール(POM)精密切削加工品。外径φ16×長さ71mm、肉厚1.4mmの薄肉パイプ5個。外周には2mm×24mmの長穴スリットが24本切削されており、全体形状と溝の配列が確認できる。
黒ポリアセタール(POM)薄肉パイプの内径M14×ピッチ1.25メスネジ部をクローズアップした写真。外径φ16×長さ71mm、5個の完成品を正面手前から撮影。
内径M14×P1.25メスネジのクローズアップ。黒ポリアセタール(POM)製、外径φ16×長さ71mmの薄肉パイプ(肉厚1.4mm)の口元に、深さ12mmのメスネジが切削されている。
表1:ポリアセタール(POM)薄肉パイプ 代表仕様
項目内容
素材黒色ポリアセタール(POM)丸棒材
外形寸法外径φ16×長さ71mm
内径寸法内径φ13.2×深さ69mm(肉厚1.4mm
加工内容薄肉パイプ切削・内径M14×P1.25メスネジ(深さ12mm)・外周長穴スリット2mm×24mm×24本
加工設備旋盤・マシニングセンター
使用工具バイト・タップ・フラットエンドミル
仕上げ両端C面取り・スリット端部糸面取り(バリ取り処理)
当社の加工実績:掲載加工事例543件(2026年5月現在)。ポリアセタール(POM)を含む樹脂素材の小ロット精密切削加工を多数手がけており、試作1個からご対応しています。

ポリアセタール樹脂(POM)精密部品の加工内容と加工方法

工程設計の要点

  1. 図面確認と素材準備:お客様支給の図面を精査し、黒色ポリアセタール(POM)丸棒材を適切な長さにカットします。素材のキズ・欠けがないか確認してから加工を開始します。
  2. 旋盤による外径加工:バイトで外径φ16×長さ71mmの円柱形状に仕上げ、両端にC面取りを施します。
  3. 旋盤による内径加工:片側から内径φ13.2×深さ69mmまで掘り込み、肉厚1.4mmの薄肉パイプ形状を成形します。
  4. 内径タップ加工:内径口元にM14×P1.25のメスネジを深さ12mmで切削します。
  5. マシニングセンターによるスリット加工:外径φ16の外周にフラットエンドミルで2mm×24mmの長穴スリット24本等分割で切削します。
  6. 糸面取り・バリ取り・寸法検査・出荷:スリット端部とエッジ部の面取り処理後、図面仕様と照合して寸法検査を行い、適切な梱包で発送します。

切削加工で注意すべきポイント

  • 切削熱の管理:POMの融点は約165℃と比較的低いため、切削速度が高すぎると素材が軟化・変形します。適切な切削条件の設定が欠かせません。
  • 薄肉部の把持方法:肉厚1.4mmの薄肉部が変形しないよう、チャックの把持力を調整し、均一な力がかかる治具を使用します。
  • タップ芯ずれの防止内径タップ加工では芯ずれがネジ精度に直結します。旋盤のセンタリングを確認してから加工を実施します。
  • スリットの等分割精度24本のスリットを均等配置するため、マシニングセンターの割出機能(インデックス)を活用します。
  • 切りくず排出の管理:POMは連続した切りくずが出やすく、工具や素材に絡まると表面傷の原因になります。送り量の調整と排出確認が重要です。
  • エッジ処理の徹底:スリット端部は鋭利なエッジが残りやすいため、糸面取りでバリを除去し、外観品質と安全性を確保します。
この部品の加工について相談する

電話での問い合わせは 0553-33-6927 まで

本製品で使用したポリアセタール(POM)について

本事例では、黒色ポリアセタール(POM)丸棒材を使用しています。ポリアセタールはポリオキシメチレンの略称で、エンジニアリングプラスチックの代表格です。グレードはホモポリマー・コポリマー・耐衝撃・難燃・食品衛生法適合グレードなど用途に応じた品種があります。詳細はポリアセタール(POM)素材解説ページをご覧ください。当社では汎用グレードを在庫しており、お客様支給材での追加工にも対応しています。

ポリアセタール(POM)の特性と優位性

  • 切削性に優れバリが出にくい:工具との摩擦が少なく、切削面が美しく仕上がります。精密形状の安定した再現性に優れています。
  • 低吸水性・高寸法安定性:吸水率は0.2%(23℃, 24h)と低く、湿度変化による寸法変化が少ないため、精度要求の厳しい部品に最適です。
  • 優れた耐摩耗性と自己潤滑性:摺動面の摩耗が少なく、潤滑油なしで動作する部品に広く用いられています。
  • 高い強度と剛性:引張強さ61 MPa・曲げ弾性率2,700 MPaと、樹脂としては高い機械的特性を持ちます。
  • 耐薬品性:油類・有機溶剤・弱酸・弱アルカリに対して安定した性能を発揮します(強酸・強アルカリを除く)。

ポリアセタール(POM)の主要物性値

以下はポリアセタール(POM)コポリマー標準グレードの代表物性値です(一次資料:メーカーデータシート・ISO規格値)。

表2:ポリアセタール(POM)コポリマー 主要物性値
物性項目試験規格
密度1.41 g/cm3ISO 1183-1
引張強さ61 MPaISO 527-2
引張弾性率2,800 MPaISO 527-2
曲げ強さ91 MPaISO 178
曲げ弾性率2,700 MPaISO 178
シャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)7 kJ/m2ISO 179/1eA
ロックウェル硬度(M)80ISO 2039-2
熱変形温度(1.82 MPa)100 ℃ISO 75-2
線膨張係数11.0×10-5/KISO 11359-2
吸水率(23℃, 24h)0.2 %ISO 62

※ 上記数値はポリアセタール(POM)コポリマー標準グレードの代表値です。グレードや製造メーカーにより異なります。設計への適用は最新のメーカーデータシートをご確認ください。

他素材との比較

ポリアセタール(POM)と、同用途で比較されやすい樹脂3種・金属2種を特性別に比較します。

■ 対象素材(POM) ■ 他樹脂素材 ■ 金属素材
表3:ポリアセタール(POM)と他素材の特性比較
素材名密度
(g/cm3)
引張強さ
(MPa)
耐摩耗性寸法安定性加工性耐薬品性耐熱性コスト指数汎用性事例一覧
ポリアセタール(POM)1.4161ポリアセタール加工事例一覧
フェノール樹脂(ベークライト)1.35-1.4540-65フェノール樹脂加工事例一覧
高密度ポリエチレン(HDPE)0.94-0.9720-35ポリエチレン加工事例一覧
66ナイロン(PA66)1.1480※66ナイロン加工事例一覧
アルミニウム合金2.70390
ステンレス鋼(SUS304)7.93520×

※ 66ナイロンの引張強さは乾燥時の値。吸水後は強度・寸法ともに低下します。数値はコポリマー標準グレードの代表値(ISO規格)。評価記号:◎優秀・○良好・△やや劣る・×不適

ポリアセタール(POM)を選ぶべきケース・再検討すべきケース

表4:ポリアセタール(POM)素材選定ガイド
この素材が向いているケース他素材も検討すべきケース
耐摩耗性・自己潤滑性が必要な精密摺動部品 軽量化最優先で強度要件が低い部品(HDPEが候補)
湿度変化の影響を受けない高寸法精度が必要 連続使用温度が100℃を超える高温環境下
油類・有機溶剤・弱酸への耐性が必要な部品 強酸・強アルカリ環境での長期使用
旋盤・マシニングセンターによる複合精密加工品 引張強さ200 MPa以上の高強度が求められる部品
試作から小ロットまで柔軟な対応が必要 透明性や光学特性が求められる用途

※ 判断に迷う場合はご相談ください。用途・環境条件をお聞きして最適な素材をご提案します。

ポリアセタール(POM)の長所と短所

表5:ポリアセタール(POM)の長所・短所
長所短所
切削性に優れ、バリが出にくく美しく仕上がる 強酸・強アルカリ環境では腐食・膨潤が発生する
吸水率0.2%と低く、寸法変化が少ない 連続使用温度は約100℃までで、高温環境に不向き
耐摩耗性・自己潤滑性が高く潤滑油なしで動作可能 紫外線に弱く、屋外長期使用には安定剤グレードが必要
高い強度・剛性で精密機械部品に最適 難燃性が低く、燃焼規制がある用途には難燃グレードが必要
コストパフォーマンスに優れた実用的な素材 ポリカーボネートに比べ耐衝撃性がやや劣る

よくあるトラブルと当社の対策

表6:ポリアセタール(POM)切削加工でよくあるトラブルと対策
トラブル主な原因当社の対策
内径ネジ精度不良(ゲージ不合格) タップ芯ずれ・切削熱による素材膨張 芯出しを徹底し、切削速度・切削油を適切に管理して加工
薄肉部の変形・割れ 過大なチャック把持力・切削荷重 専用治具で均一把持し、軽切削で段階的に仕上げる
スリット割り付け誤差 インデックス設定ミス・プログラムエラー 割出角度を加工前に確認し、試加工で精度を検証してから本加工
切りくず絡みによる表面傷 連続切りくずの工具・素材への巻きつき 送り量と切削速度を調整し、切りくず排出を適正に管理
加工後の寸法変化 切削残留応力・温度変化 加工後の安定化時間を確保し、必要に応じてアニール処理をご提案

※ 上記以外のトラブル・ご不明点もお気軽にご相談ください。

ポリアセタール加工が活躍する分野

  • 機械・産業機器:精密ギア、摺動部品、ベアリングリテーナー、バルブ部品など、耐摩耗性と寸法安定性が求められる部品に広く採用されています。
  • 自動車・輸送機器:ドアロック機構、燃料系部品、スイッチ部品など、信頼性が求められる機構部品に使用されています。
  • 電子・電気機器:コネクター部品、センサーハウジング、絶縁スペーサーなど、精度と絶縁性が求められる分野で活躍します。
  • 試作・開発分野:材料評価サンプルや機能確認プロトタイプの小ロット製作にも対応しており、開発スピードをサポートします。

よくある質問(FAQ)

Q1. 黒色ポリアセタールと白色ポリアセタール、加工上の違いはありますか?

A1. 加工性に本質的な違いはありません。黒色・白色ともに機械的特性はほぼ同等で、色の選択は用途・識別の必要性に応じて決めていただけます。

Q2. 肉厚1mm〜2mm程度の薄肉パイプ加工は可能ですか?

A2. 対応可能です。本事例のように肉厚1.4mmの薄肉パイプを製作した実績があります。変形を防ぐため、把持方法や切削条件を工夫して加工しています。

Q3. 内径にネジ(タップ)加工をする場合、精度はどの程度まで出せますか?

A3. M14×P1.25程度のメスネジであれば、JIS 6H精度クラスに対応できます。精度要件が厳しい場合は事前にご相談ください。

Q4. 外周のスリット加工で、等分割の精度はどのくらいですか?

A4. マシニングセンターの割出機能を使用することで、本事例(24等分)のような均等割り付けが可能です。角度精度の要件があれば事前にご相談ください。

Q5. ポリアセタール(POM)丸棒材は当社で用意していただけますか?

A5. はい、黒色・白色の汎用POM丸棒材をご用意できます。お客様支給材での加工にも対応しています。

Q6. 最小ロット数は何個からですか?

A6. 試作1個からご対応しています。小ロット生産にも柔軟に対応していますので、お気軽にご相談ください。

Q7. 納期はどのくらいかかりますか?

A7. 加工内容や数量により異なりますが、標準的な部品で5~7日程度です。お急ぎの場合はご相談ください。

Q8. ポリアセタール(POM)と66ナイロン(PA66)では、精密部品にはどちらが向いていますか?

A8. 寸法安定性を重視する場合はPOMが有利です。PA66は吸水率が高く(約2.5~3%)、湿度変化で寸法が変わりやすいため、高精度部品にはPOMの方が適しています。

Q9. 図面がない場合でも加工の相談はできますか?

A9. はい、スケッチやサンプル品をお送りいただければ、図面作成のサポートも含めてご相談に応じます。

Q10. 旋盤加工とマシニングセンター加工の両方を一括で依頼できますか?

A10. はい、当社では旋盤加工・マシニングセンター加工・タップ加工など、複数の工程を一括でお受けしています。工程ごとに外注先を探す手間が省けます。

Q11. 加工後の寸法検査は実施していますか?

A11. はい、加工完了後に図面仕様と照合した寸法検査を実施してから出荷しています。検査成績書が必要な場合はご相談ください。

Q12. 食品機械や医療機器向けのポリアセタール加工にも対応できますか?

A12. POMには食品衛生法適合グレードや医療用グレードがあります。用途に応じた素材のご提案が可能ですので、まずはご相談ください。

ご依頼から納品までの流れ

  1. お問い合わせ:メールフォームまたはお電話でご相談ください。図面・サンプルをお送りいただければ、詳細な検討が可能です。
  2. お見積もり:素材・加工内容・数量をもとに、正式なお見積もりをご提示します。
  3. 発注・素材手配:ご発注確定後、素材を手配し加工準備を進めます。
  4. 加工・検査:旋盤・マシニングセンターで加工後、図面仕様と照合した寸法検査を実施します。
  5. 梱包・出荷:適切な梱包のうえ、宅配便でお届けします。

まとめ

ポリアセタール(POM)は、切削性・耐摩耗性・寸法安定性に優れたエンジニアリングプラスチックです。本事例のような薄肉パイプへの複合加工(内径ネジ・外周スリット)にも対応できます。試作1個からの小ロット加工も歓迎していますので、まずはお気軽にご相談ください。

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