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PEEK旋盤加工品

- プラスチック加工品例 -

PEEK旋盤加工品

【PEEK旋盤加工品】

PEEK旋盤加工品

【PEEK旋盤加工品】

PEEK旋盤加工品

PEEK旋盤加工品です。
まず初めの工程で、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)の丸棒を旋盤にかけ、切削加工にて外径と内径を仕上げます。
そのあとの工程で、マシニングセンターにエンドミルをセットし、Uの字の切り欠き(溝)を切削加工して完成させました。

(※これまで作ったPEEK加工製品はこちら → PEEK切削加工品)
(※詳しい素材情報はこちら → ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))

 

「PEEK旋盤加工品」の詳細解説

当社ではPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂の精密加工を得意としており、お客様からの図面支給による受注生産で高品質な特注部品を製造しています。この製品は、旋盤とマシニングセンターを組み合わせた複合加工技術により、複雑な形状でも高精度に仕上げることが可能です。

PEEK樹脂はスーパーエンジニアリングプラスチックの中でも最高級の性能を誇る素材であり、耐熱性・耐薬品性・機械的強度すべてにおいて優れた特性を持っています。航空宇宙産業から医療機器まで、幅広い分野で重要な役割を果たしています。

なお、正式名称は「Poly Ether Ether Ketone(ポリエーテルエーテルケトン)」で、頭文字を取って「PEEK(ピーク)」と呼ばれることが多いです。

▶ これまで作ったPEEK加工製品はこちら → PEEK切削加工品

加工工程ステップ

  1. 図面確認・加工計画策定 – 支給図面の詳細検討と最適な加工手順の決定
  2. PEEK丸棒材の前処理 – 素材の寸法確認と加工面の清浄化
  3. 旋盤セッティング – ワークの確実なチャッキングと芯出し作業
  4. 外径・内径の粗加工 – バイトによる大まかな形状出し
  5. 精密仕上げ加工 – 指定寸法への高精度仕上げ
  6. マシニングセンター加工 – エンドミルによるU字溝の切削
  7. バリ取り・表面仕上げ – 加工跡の除去と表面品質の向上
  8. 寸法検査・品質確認 – 最終検査

加工上のポイント

  • 切削条件の最適化 – PEEK特有の熱伝導率に配慮した送り速度・回転数設定
  • 工具選定 – 超硬バイト・エンドミルの材質と形状の適切な選択
  • クーラント管理 – 加工熱による変形防止の措置
  • チャッキング圧力調整 – 樹脂の弾性変形を防ぐ適切な把持力設定
  • 切り屑処理 – 連続した長い切り屑による工具損傷の防止
  • 寸法安定性確保 – 加工後の寸法変化を考慮した工程管理

PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)とは

PEEK(PolyEtherEtherKetone)は、イギリスのICI社によって1970年代後半に開発された高性能エンジニアリングプラスチックです。芳香族ポリマーの一種で、ベンゼン環とエーテル結合、ケトン結合から構成される直鎖状の結晶性熱可塑性樹脂です。

この樹脂の最大の特徴は、300℃を超える連続使用温度を持ちながら、優れた機械的強度と化学的安定性を兼ね備えていることです。一般的なエンジニアリングプラスチックでは到達できない過酷な環境下でも安定した性能を発揮します。

PEEKは結晶性樹脂であり、結晶化度によって物性が大きく変化します。徐冷による結晶化処理を行うことで、より高い機械的強度と耐熱性を得ることができます。

耐放射線性にも優れており、原子力産業や宇宙航空分野での使用実績も豊富です。ガンマ線や電子線に対する耐性は、多くの金属材料と同等レベルの性能を示します。

加工性の面では、寸法安定性に優れ、精密加工後の経時変化が少ないことが大きなメリットです。切削加工、射出成形、押出成形など、様々な加工方法に対応可能です。

生体適合性も認められており、医療機器分野では人工関節や歯科インプラントの材料として広く採用されています。USP Class VIやISO 10993といった医療規格にも適合しています。

電気特性としては優れた絶縁性を持ち、高温下でも電気的特性の劣化が少ないため、電子部品や電気機器の絶縁材料としても重要な役割を果たしています。

PEEK樹脂のバリエーション

純PEEK(アンフィルドグレード)

純粋なPEEK樹脂で、最も基本的なグレードです。優れた耐熱性と耐薬品性を持っており、医療機器や食品関連装置に多用されます。加工性に優れ、精密加工に最適です。

ガラス繊維強化PEEK

ガラス繊維を配合したグレードで、機械的強度と剛性が大幅に向上しています。クリープ特性と耐摩耗性が改善され、構造部材として優秀な性能を発揮します。ただし、加工時にガラス繊維による工具摩耗に注意が必要です。

炭素繊維強化PEEK

カーボンファイバーを配合することで、軽量化と高強度化を両立したグレードです。導電性を付与できるため、静電気対策が必要な用途に適しています。航空宇宙産業での需要が高いグレードです。

PTFE配合PEEK

PTFEを配合することで、摩擦係数を大幅に低減したグレードです。自己潤滑性に優れ、無給油での軸受けやシール材として使用されます。摺動部品に最適な選択肢です。

導電性PEEK

カーボンブラックや金属粉末を配合して導電性を付与したグレードです。静電気帯電防止や電磁波シールド効果が求められる用途に使用されます。半導体製造装置などで重要な役割を果たします。

PEEK樹脂の特徴比較

項目 長所(メリット) 短所(デメリット)
耐熱性 連続使用温度260℃、短期使用温度300℃超 高温での長時間使用時は酸化劣化の可能性
機械的強度 高い引張強度・曲げ強度、優れたクリープ特性 衝撃強度は金属材料に劣る
耐薬品性 ほとんどの化学薬品に対して優れた耐性 濃硫酸・濃硝酸などの強酸に対しては限界あり
加工性 寸法安定性良好、精密加工可能 加工時の発熱により変形の可能性
コスト 長期使用によるトータルコスト削減効果 初期材料費が一般樹脂の10-20倍
電気特性 優れた絶縁性、高温での特性安定性 導電性が必要な用途には別グレードが必要

PEEK・他樹脂素材・金属素材の材料比較表

特性 PEEK(ピーク) POM(ポリアセタール) PTFE(テフロン) ステンレス鋼 アルミ合金
密度(g/cm³) 1.30 1.42 2.17 7.98 2.70
連続使用温度(℃) 260 100 260 800+ 150
引張強度(MPa) 100 70 31 520 310
耐薬品性
加工性
コスト

PEEK樹脂の優位点

上記比較表から、PEEK樹脂の優位点として以下が挙げられます:

  • 軽量性と高強度の両立 – 金属材料の1/2-1/6の密度で優れた機械的特性を実現
  • 高温環境での安定性 – 一般樹脂では不可能な260℃連続使用を実現
  • 総合バランス – 耐熱性・耐薬品性・機械的強度すべてで高水準を維持
  • 長期信頼性 – 過酷環境下での長期使用における特性安定性

PEEK樹脂の物性値

物性項目 単位 標準値 測定方法
密度 g/cm³ 1.30 ISO 1183
融点 343 DSC
ガラス転移温度 143 DSC
引張強度 MPa 100 ISO 527
引張弾性率 GPa 3.6 ISO 527
曲げ強度 MPa 165 ISO 178
圧縮強度 MPa 120 ISO 604
シャルピー衝撃強度 kJ/m² 7 ISO 179
熱伝導率 W/(m·K) 0.25 ASTM C177
線膨張係数 ×10⁻⁵/K 4.7 ASTM D696

PEEK樹脂の主な用途・使用場面

  • 航空宇宙産業 – エンジン部品、構造材、電気絶縁材
  • 医療機器 – 人工関節、歯科インプラント、外科器具
  • 自動車産業 – エンジン周辺部品、トランスミッション部品
  • 化学プラント – ポンプ部品、バルブシート、配管継手
  • 半導体製造装置 – ウェーハキャリア、チャンバー部品
  • 石油・ガス業界 – 海底油田装置、高温高圧環境用部品
  • 食品機械 – 高温殺菌装置部品、搬送機械部品
  • 原子力産業 – 放射線環境下での機構部品
  • 電子機器 – 高温環境用コネクタ、絶縁部品
  • 分析機器 – HPLCカラム、質量分析計部品

よくある質問(FAQ)

Q1. PEEK樹脂の加工で最も注意すべき点は何ですか?

A1. 加工熱の管理が最重要です。PEEKは熱伝導率が低いため、切削時に発生した熱が蓄積しやすく、変形や寸法精度悪化の原因となります。適切な切削条件設定とクーラント使用が必須です。

Q2. 旋盤加工とマシニングセンター加工を組み合わせる理由は?

A2. 形状の複雑さに対応するためです。旋盤で円筒形状を効率よく加工し、マシニングセンターで複雑形状を高精度に仕上げることで、最適な品質とコストを実現します。

Q3. PEEK樹脂は一般的なプラスチックと同じ工具で加工できますか?

A3. 超硬材質のバイトやエンドミル、適切な切れ刃角度を持つ工具を使用することで、良好な加工面と工具寿命を確保できます。

Q4. 図面支給から納品までの期間はどの程度ですか?

A4. 形状の複雑さと数量により異なりますが、一般的には1-2週間程度です。緊急対応も可能ですので、納期についてはお気軽にご相談ください。

Q5. PEEK樹脂の最小加工可能寸法はどの程度ですか?

A5. 当社の精密加工技術により、1/100mm台で公差管理しています。さらに高精度が必要な場合は、加工方法を最適化して対応いたします。

Q6. 少量生産でも対応可能ですか?

A6. 1個からでも対応しています。試作品から小ロット生産まで、お客様のニーズに合わせて柔軟に対応いたします。単品加工でもコストパフォーマンスの良いご提案をいたします。

Q7. PEEK以外の高性能樹脂の加工も可能ですか?

A7. 各種スーパーエンジニアリングプラスチックの加工に対応しています。PAI、PEI、PPS、PTFE、UHMWPEなど、用途に応じた最適な材料選定と加工方法をご提案いたします。

Q8. 加工後の表面処理や二次加工は対応していますか?

A8. 表面研磨(磨き)、サンドブラスト処理、シルク印刷などの仕上げ加工にも対応可能です。

お問い合わせから納品までのフロー

  1. 図面支給・仕様確認 – CADデータまたは紙図面による詳細仕様の確認
  2. 技術検討・見積作成 – 最適な加工方法の検討と詳細見積書の提出
  3. 正式発注・材料手配 – ご発注確認後、PEEK材料の調達開始
  4. 加工プログラム作成 – CNCプログラム作成と加工条件最適化
  5. 試加工・初回検査 – 初回品の加工と寸法・品質確認
  6. 本加工・品質管理 – 量産加工と全数または抜き取り検査の実施
  7. 最終検査・梱包 – 出荷前の最終品質チェックと適切な梱包
  8. 納品・アフターフォロー – 指定場所への納品と使用状況のフォローアップ

まとめ

PEEK樹脂の精密加工は、当社の得意分野であり、豊富な経験と専門技術により、お客様の要求する高品質な製品を提供しています。旋盤とマシニングセンターを駆使した複合加工技術により、複雑な形状でも高精度な仕上がりを実現します。

PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)は、優れた耐熱性・耐薬品性・機械的強度を併せ持つスーパーエンジニアリングプラスチックとして、航空宇宙・医療・化学など様々な分野で重要な役割を果たしています。その特性を最大限に活かすためには、専門的な加工技術と豊富な経験が不可欠です。

当社では図面支給による受注生産を基本とし、お客様の個別ニーズに対応したオーダーメイド製品の製造を行っています。試作から小ロット生産まで、柔軟な対応により、お客様の開発スケジュールをサポートいたします。

PEEK樹脂の特性を理解し、適切な加工技術を適用することで、従来材料では実現できない高性能部品の製造が可能になります。過酷な使用環境において長期間安定した性能を発揮する部品をお求めの際は、ぜひ当社にご相談ください。

高品質なPEEK樹脂加工品の製造において、当社の技術力と経験がお客様のプロジェクト成功に貢献いたします。下記よりお気軽にご相談ください。

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