なるほど講座/フッ素樹脂フィルム
フジサンケイ ビジネスアイ - 2008年8月20日
■五輪「鳥の巣」屋根に使用/透過性にすぐれ長寿命
北京五輪もいよいよ後半。男子陸上100メートル、競泳など世界新記録が続出し、大会はおおいに盛り上がっていますが、その“舞台”となっている会場に日本の先端技術が数多く使われているということは以外に知られていません。
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たとえば、大小3000個の透明な膜に覆われた独特なつくりが目を引く水泳会場「国家遊泳中心」の外観や、鳥の巣の愛称で親しまれているメーンスタジアム「国家体育場」の屋根部分。ここには旭硝子のフッ素樹脂フィルムが使われています。フィルムの厚さは0・1〜0・25ミリ。水泳会場では約30万平方メートル、メーンスタジアムでは約5万平方メートルものフィルムが使用されています。水泳会場のフィルムは3層構造となっており、中に空気を入れてふくらませることで、水の泡を巧みに表現しています。
旭硝子によると、納入したのは原料から一貫生産している「Fluon ETFEフィルム」(日本での商標はアフレックス)と呼ばれる製品です。(1)透明で光を十分に透過する(2)軽量なので構造への負担が小さい(3)劣化しにくく寿命が長い(4)意匠上、曲線的な加工が可能−といった特徴があります。同社はフィルムベースで50%近いシェアを握っており、今回はこうした特徴や実績が認められたといいます。
フッ素樹脂フィルムの内部には太陽光が届くため、昼間ならば、照明を使わなくてもいいくらいの「省エネ設計」となっているそうです。
同フィルムの販売を開始したのは1975年。現在ではエレクトロニクス、航空・宇宙の分野で幅広く活躍しています。サッカーのドイツW杯の舞台となったミュンヘン市のスタジアム「Allianz−Arena」でも使われ、中小建築物向けとしては、病院、学校などに採用事例があります。
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このように欧州では豊富な実績がありますが、アジアではまだまだというのが実情です。特に日本国内では建築基準法で同フィルム材の使用が認められていません。現在は、ビニールハウスなど農業用温室などへは利用されていますが、建築物への適用事例はないということです。
しかし、温室に使用した場合、一般の樹脂製フィルムは数年ももちませんが、同社のフッ素樹脂フィルムは、実際の現場で20年間以上劣化せずに使用されています。価格は1平方メートル当たり数千円と一般の樹脂フィルムに比べて大幅に高いのがネックとなっています。