炭素繊維の開発加速 鉄より軽くて硬い新素材
東京新聞 - 2008年8月15日
鉄よりも軽くて硬く、航空機の部材としても注目される炭素繊維をめぐり、大手メーカーの間で自動車向け素材の開発が加速してきた。地球温暖化や原油高を反映し、軽量化による燃費向上が次世代車の成功のカギを握るためだ。東レと帝人が東海地区に相次いで研究開発拠点を設置。世界シェアでトップを争う両社の競争が今後、激化しそうだ。
炭素繊維は、アクリル繊維を蒸し焼きにした後、二千−三千度で高温処理して糸に紡ぐ。布状の繊維をエポキシ樹脂で固めると、強度は鉄の十倍、重さは四分の一のスーパー素材が完成する。
自動車各社は、環境対策としてハイブリッド車や燃料電池車の開発と並行して、燃費向上につながる軽量化を重視。東レは、車台やルーフなどに炭素繊維を使うことで千三百八十キロの乗用車を四百キロ軽くできると見積もる。
開発のネックは硬さだ。頑丈な特長が逆に成型・加工を難しくし、時間とコストがかさむ。鉄の鋼板が一キロ=百円程度なのに対し炭素繊維は数千円で、これまで利用は一部の高級車やレーシングカーなどに限られていた。東レや日産などの研究により、加工時間はボンネット部分で従来の百六十分から十分以下に短縮したが、汎用車に使うにはさらに改良が必要という。
汎用化に向けた加工時間の一層の短縮とコスト低減のため、東レは六月、技術開発拠点「オートモーティブセンター」を名古屋市内に新設。九月から活動を本格化させる。
帝人も七月、炭素繊維など複合材料の設計・製造を手掛ける「ジーエイチクラフト」(静岡県御殿場市)を子会社化し、併せて同社敷地内に「複合材料開発センター」を設置した。帝人傘下で炭素繊維事業を手掛ける東邦テナックスと共同で、先行する東レを追撃する構えだ。