岡谷市内の製造業 設備や製品教材に
長野日報 - 2008年8月14日
ものづくりに関する教材の老朽化や不足に悩む岡谷工業高校と県岡谷技術専門校に、自社の設備や製品を提供する動きが岡谷市内の製造企業の間に広がっている。岡谷市の呼び掛けに企業側が応じたもので、4月以降の寄贈件数はすでに150件を超えた。売り手市場の就職戦線で人材を確保しにくい中小企業にとっては、地元校の産業教育に寄せる期待も大きいようだ。
きっかけは今年2月に開いた「ものづくりフェア」。事務局を務めた岡谷市工業振興課の杉本研一課長は、イベントに参加した学校関係者から教材不足の窮状を聞いた。何人かの経営者に相談したところ賛同を得たため、多くの経営者が集まる市金属工業連合会などで協力を呼び掛けた。
岡谷工電気科の中島史雄教諭によると、生徒が実習や研究に使用する計測器や工作機械などの「産業教育振興備品」は、財政難で昭和50年代後半から入れ替えが進んでいない。電気、電子、機械系備品の不足や老朽化が顕著で、企業側の協力は「大変ありがたい」と話す。
市がまとめた両校の希望備品は、岡谷工が99品目、岡谷技専校は16品目。7月末現在、企業側は11社が協力し、寄贈件数も岡谷工139件、岡谷技専校18件に達した。LED発光ダイオードやノギス、ドリルなどの小物が中心だが、中には数百万円相当の高額機器も。最新設備を導入して使わなくなったり、製造現場では不要だが教材としては十分使用できるものを寄せている。
協力企業の1つ、ダイヤ精機製作所の小口裕司社長(50)は「次世代のものづくりを担う人たちに、会社で眠っているものが少しでも役に立てば」とする。大卒者の人材確保が厳しい分、地元の教育機関への期待も大きいという。「ものづくりをやりたい高校生は比較的多いと思う。高卒でバリバリやっている社員もいる」とし、活躍の場が多い中小企業の魅力を強調した。
中島教諭は「プレッシャーはあるが、地域の期待に応えることで学校の活性化にもつながる。企業の皆さんの意見を聞き、刺激を受けながら工業教育の活性化につなげたい」と話す。杉本課長は「長年使われた道具には魂が宿っている。血のにじむような努力をした先輩たちの思いが伝われば」と期待している。
両校では現在も備品が不足しているという。岡谷工は卓上旋盤や同ボール盤、コンプレッサ、アルミやプラスチック板の端材、シーケンサ関連装置、パソコン、ネジ各種、電線類など。岡谷技専校は汎用旋盤やフライス盤、ワイヤーカット放電加工機などを求めている。