プラスチック・エレクトロニクス適用のディスプレイを米社が量産へ
EE Times Japan - 2008年8月13日
米Plastic Logic社は、プラスチック・エレクトロニクス技術を適用したディスプレイの量産ラインをドイツのドレスデンにある同社の製造拠点に構築する。製造担当のバイス・プレジデントを務めるKonrad Herre氏が明らかにした。
同社は2009年にもこのディスプレイを搭載したビジネス用読書端末を市場に投入するとしている。同氏によれば読書端末の大きさはA4用紙程度で、厚みは数mm(ミリメートル)になる。
プラスチック・エレクトロニクス技術を使う同社のディスプレイは、製造工程のうちいくつかの工程においては、従来型ディスプレイと同様の基本的な製造装置を使うものの、製造工程の処理の順番や材料はまったく異なるという。「これはエレクトロニクスの新しい分野であり、ディスプレイ製造プロセスの模倣ではない」と同氏は言う。
同社は、イギリスのケンブリッジの拠点で開発した試作ラインを、前述のドレスデンの製造拠点に移設する計画だ。ドレスデン工場で製造したディスプレイを、提携するEMS(電子機器の受託製造サービス)企業に引き渡して、最終的な読書端末に組み立てる。
ただしこのディスプレイの製造は、単にプラスチックを製造するのとは異なり、非常に複雑である。有機エレクトロニクス・バックプレーン(背面基板)を備えるディスプレイを製造し、電気的インターフェースをディスプレイに直接接続しなければならない。さらにドレスデンでは、技術的な移転が済んだ段階で、量産に向けた製造ラインを立ち上げる必要もある。同社のディスプレイ製造技術は、「これまで有機エレクトロニクス素子に基づく製品で使われたことがなかった新しい技術である」と同氏は述べている。
製造拠点としてドレスデンを選んだ主な理由としては、研究開発の成果を基に製品の量産を立ち上げる経験を積んだ技術者を採用できるからだという。例えば、米Advanced Micro Devices(AMD)社やドイツInfineon Technologies社は、ドレスデンの事業所で半導体を開発し、量産にも対応している。
半導体分野のノウハウそのものは、Plastic Logic社の製造技術に直接は関係ない。しかし、「量産に向けた装置や手法、パラメータの制御方法などについては、シリコンを使うマイクロエレクトロニクス分野の経験を生かせる」とHerre氏は言う。
同社の従業員は現在160人で、そのうち70人がドレスデン工場に勤務する。2009年には、ドレスデン工場の人員を150人まで増やす計画だという。
製品の製造は2009年の春に始める予定である。「読書端末向けにコンテンツや接続機能を提供する大手企業と接触を始めている」(Herre氏)とするが、具体的な企業名については明らかにしていない。
同社の読書端末は、広く普及する可能性を秘めている。ビジネス文書や書籍、新聞などの代わりに、軽量のシート状の電子ペーパーを持ち運べば済むからだ。無線接続機能によって、例えば最新の新聞をダウンロードするといった使い方ができる可能性がある。
この読書端末を使えば、携帯電話機の画面上で読み取ることが難しい、電子メールの添付ファイルを大きな画面で見られるようになる。「軽くて壊れにくく、持ち運びが容易な、文書の閲覧にも対応できる端末が求められている」(Herre氏)。
同社は2008年に、創業の地であるイギリスのケンブリッジから米国カリフォルニア州のマウンテン・ビューに本社を移した。さらに同社は最近、従来からの投資企業である米Oak Investment Partners社や英Amadeus Capital Partners社などから5000万米ドルの追加資金を調達した。このほかPlastic Logic社には、ドイツBASF(Baden Aniline and Soda Manufacturing)社や米Intel社が出資している。