「世界の頭脳」に触れた 白川博士が福井で講演、実験指導
福井新聞 - 2008年8月12日
2000年にノーベル化学賞を受賞した筑波大名誉教授の白川英樹さん(71)を招いた「ふくいスーパーサイエンスフォーラム2008」が12日、福井県福井市のアオッサなどで開かれた。白川さんの講演や実験指導を通じ、県内の高校生が「世界の頭脳」に触れた。
県教委が高校生の理科・数学への関心を高めようと初めて開いた。講演に約430人、実験には公募で選ばれた32人の生徒が参加した。
白川さんは、電気を通すプラスチックを発見・開発。銀行の現金自動預払機のタッチパネルや携帯電話の電池など世界中で広く利用されている。
藤島高SSH研究クラブ物理による理科研究発表の後、「セレンディピティーを知っていますか?」と題して講演した白川さんは「セレンディピティーとは、ある目的を成し遂げている途中に起きた偶然の出来事を、素晴らしい発見につなげる力のこと。失敗や誤りを捨て去らず、観察、記録し続けることが発見の第一歩になる」と強調。電気を通すプラスチックを発見する過程で、触媒の量を間違えた実験失敗を機に、潜んでいた新物質を見逃さなかった経験から、好奇心と洞察力の重要性を伝えた。
この後、場所を高志高に移し、白川さんが生徒32人に、透明なフィルムから音が出るスピーカーを作る実験を指導した。フィルムスピーカーは特殊な透明シートの両面に「導電性プラスチック」の原料となる茶褐色の溶液を薄く塗り、電極をつける。
8班に分かれた生徒は、白川さんの助言を受けながらムラなく溶液を塗ると、分子が反応して黒っぽくなり、導電性プラスチックに変化。“超薄型スピーカー”を携帯音楽プレーヤーなどにつなげると、音量、音質に差はあったものの、ほとんどが鳴った。
藤島高1年の加藤寛子さん(16)は「思ったより音がきれい。自分でスピーカーを作って感動した。白川先生から(電圧で)フィルムが伸び縮みして音が鳴る仕組みも聞けたので本当にうれしかった」と刺激を受けた様子。白川さんは「生徒は熱心に取り組み、興味を持って質問をする生徒もいた。実験で学ぶ意欲をつけることが大切だ」と話していた。