廃FRP船 難航するリサイクル
朝日新聞 - 2008年8月5日
ガラス繊維強化プラスチック(FRP)でできた船をセメント材料などにリサイクルするシステムが、07年度から全国で進められている。しかし、これまで県内で、一般の所有者から回収した廃FRP船は11隻と少ない。所有者からは「リサイクル費用が高い」と処分をためらう声があがっている。一方、運営者側は「大量に扱うものではないので、これ以上安くできない」と理解を求めている。
FRPは丈夫でさびにくい特性をもち、船の材料として使われている。しかし、ほかに用途がなく、燃やすと有毒ガスが発生するため処分が困難。これまで廃棄処分するルートがほとんどなく、不法投棄の一因になっていた。このため、国土交通省とメーカー団体の日本舟艇工業会がリサイクルシステムを確立した。
廃FRP船の処分を希望する所有者は、各都道府県の指定された販売店に受け付け期間中に申し込む。船は業者によって解体・破砕され、セメントの材料にリサイクルされる。
不法投棄が減ることなどが期待されて、07年度からリサイクルシステムの運用が始まったが、関東運輸局によると、07年度の県の回収隻数は、一般所有者から7隻、自治体から52隻の計59隻。08年度上半期は、一般所有者から4隻、自治体から16隻の計20隻だった。
全国でも07年度、一般所有者から270隻、自治体から516隻の計786隻にとどまっている。大半が、不法投棄・係留の船の処分を希望する自治体からの申し込みという。
一般所有者からの申し込みが少ない理由として、所有者の負担費用の高さがある。
横須賀市の販売店の店員は、「これまで20〜30人から見積もりの相談を受けたが、『聞いていたよりずいぶん高い』と折り合いがつかず、一度も引き受けていない」と話す。
費用は船の種類や長さによって決まり、6〜7メートルのオープンボートで6万5千円。それに、FRP以外の部品外しやガソリン抜きなどの費用を加えると、15万円近くになるという。「2〜3万円で処分できると思っているので、実際とのギャップに驚き、『それならまだ持っていよう』と考え直す人ばかり」
関東運輸局の担当者は「費用が高いという意見もあるが、FRPのリサイクルは、各都道府県に1、2カ所しかない特殊な事業。大量に扱うリサイクルであれば安くできるが、現状では適正な費用」としている。日本舟艇工業会も「まだシステムが十分に認知されていない部分もある。販売店などに周知を呼びかけて、リサイクルを増やしていきたい」。
今年度下半期の申し込み受け付けが8月から始まった。来年2月9日まで。問い合わせは、同会のFRP船リサイクルセンター(03・3567・6929)まで。