「氷河を救おう」 アルプスで「カバー作戦」始まる
MSN産経ニュース - 2008年7月17日
【ベルリン=黒沢潤】世界有数のスキー・リゾートがひしめく欧州のアルプスで、氷河の溶解が深刻化している。温暖化が原因で、氷河を布などで覆って被害を最小限に食い止める「カバー作戦」も始まっている。
ドイツ南部のツークシュピッツェでは先月、幅約5メートル、長さ約30メートルのビニール・シート(重量約130キロ)が約6000平方メートルにわたって敷かれた。この地域は、アルプス北側の氷河の一部で、1910年に厚さ約80メートルだった氷河は今では45メートルにまで激減している。昨年は同様の作戦で3万立方メートルの氷河を救った。
スイスのアンデルマットなどでもここ数年、夏場に氷河を覆う作業が行われている。スイス国内では、1850年に総面積が1800平方キロもあった氷河が2000年には、1050平方キロにまで減少した。欧州を襲った猛暑により、フランスだけで約3万人の高齢者らが死亡した03年には、「相当の量が消えた」(スイスのテレビ局)という。
オーストリアのインスブルック大学では、最適なカバーの材質研究が進められており、紫外線の遮断機能を取り付けたポリプロピレン樹脂の特殊ビニールが一番効果を発揮するという。
経済協力開発機構(OECD)の試算によれば、年間平均気温が4度上昇すれば、アルプスの699のスキー・リゾートのうち、202カ所しか営業できなくなるという。